2012 Fiscal Year Research-status Report
被災地支援学のための位置センシングデータ利用手法の開発
Project/Area Number |
24656299
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥村 誠 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (00194514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大窪 和明 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教 (50546744)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 防災計画 / 位置情報 / GPS / センシング |
Research Abstract |
東日本大震災のような巨大災害では,被害が深刻な地域ほど被災の実態や自らニーズを外部に伝えることができない.本研究では被災地支援の方策の検討のため,被災地ニーズを定量的に分析するための住民の被災状況,各避難所に実際に居住する人数などの基礎情報を,近年収集が可能になったGPS機能付携帯電話の位置情報データを駆使して把握するための手法を提案する.特に,メッシュごとに集計された携帯電話の存在数のデータから,居住者,避難者,移動者などのグループに分解する手法を開発する. 平成24年度は,GPS機能付携帯電話の位置情報データを保有する企業と,データの抽出と使用に関する法制度および技術的課題の聞き取りと折衝を行ったが,残念ながら実際の個人の移動データを入手する状況にはいたらなかった。そのため2002年に仙台都市圏において行われたパーソントリップ調査データを用い,携帯電話情報の開示が比較的容易と思われる時間データのみを用いて,特定の1日に特定の目的の行動が達成できたか否かを判別する方法の開発に取り組み,ほぼ所期の成果が得られている。 これと平行して,本研究のアウトプットを有効に活用できるテーマとして,燃料入手のためのガソリンスタンドへの殺到という現象を取り上げ,人々のガソリンスタンドへの移動,長時間にわたる待ちという行動の背後にあるメカニズムのモデル化,空間的分布を聞ける要因の再検討を行い,整理券配布や給油量制限などの各種の混雑緩和策の効果に関する理論的考察を行った。その結果,将来の供給体制が不安定な状況下で品切れ時に整理券配布を行うと,当日中に並ぼうとする車が増え,殺到状況が悪化する可能性があることなどを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画の採択後から,GPS機能付携帯電話の位置情報データを保有する企業と,データの抽出と使用に関する法制度および技術的課題の聞き取りと折衝を行ったが,個人情報保護の観点からクリアしなければならない課題が存在しており,実際の個人の移動データを入手する状況にはいたらなかった。そのため,実際のデータを用いての分析が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はデータ使用にかかわる制度をクリアするための折衝を継続する一方で,公開・市販されている集計データの分析および,パーソントリップ調査の結果を用いた平常時のデータの分析を進め,メッシュごとに集計された携帯電話の存在数のデータから,居住者,避難者,移動者などのグループに分解する手法の開発を行う.また,パーソントリップ調査から人為的に抽出を行ったデータセットを用いて,GPS携帯電話の普及率の低さや属性の偏りがバイアスにもたらす影響の評価を行い,当初計画の2ヵ年分の進捗を図る. このとき,越村俊一教授を研究代表者とする基盤研究(A)「リモートセンシングとソーシャルセンシングの融合による被災地支援策の刷新」の研究分担者としての活動から得られるリモートセンシングデータの援用により,被災地の状況に関する多面的なデータ間の照合を行い,データの信頼性についての見積もりを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
GPS機能付携帯電話の位置情報データの抽出と使用に関する法制度上の問題から,実際の個人の移動データを入手する状況にはいたらなかったため,具体的な地域および時点の航空写真などの関連データが購入できず,残額が生じた。 次年度はデータ使用にかかわる制度をクリアするための折衝を継続する一方で,市販されている集計データを用いた分析を進めて,遅れを取り戻す予定であり,平成25年度申請額とあわせて有効に活用する。
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Research Products
(8 results)