2012 Fiscal Year Research-status Report
表面プラズモン共鳴を利用したO157ハイスループットスクリーニング法の開発
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24656306
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 久 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80326636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 聡 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10612674)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 腸管出血性大腸菌O157 / 表面プラズモン共鳴 / バイオセンサ / 迅速性 / 簡便性 |
Research Abstract |
交付申請書に記載した「研究の目的」:本研究ではO157ハイスループット(前処理無し、早いレスポンス、特異的 (=高い選択性)、高感度(=低い検出限界))スクリーニング法(センサ)を開発する。 「研究実施計画」:H24年度は、O157抗体の最適化、O157抗体の性能評価、を行うことを目的とする。 H24年度の具体的内容、意義、重要性:本研究では食中毒を引き起こす病原微生物の例として腸管出血性大腸菌O157をターゲットとし、これらのSPRバイオセンサを開発することを試みた。特に、バイオセンサの定量性、定量下限値、感度向上について検討した。まず、大腸菌を含まないPBSを20分間供給した。最大共鳴波長が675.6nmで安定していたので、20分に大腸菌濃度10の5乗個/mLのPBSを供給した。その後6分間では最大共鳴波長は変化しなかった。PBSでセンサチップを洗浄した後、31分に大腸菌濃度10の6乗個/mLのPBSを供給した。すぐに最大共鳴波長は増大し、36分に676.4nmで安定した。その後PBSで洗浄したところ、676.2nmで安定した。47分に大腸菌濃度10の7乗個/mLのPBSを供給した。最大共鳴波長は大幅に増大し、63分に679.7nmで安定した。その後PBSで洗浄したところ、678.8nmで安定した。76分に大腸菌濃度10の8乗個/mLのPBSを供給した。最大共鳴波長は急激に増大し、78分に682.5nmで安定した。このように、センサチップに抗原抗体反応により結合した大腸菌量は、大腸菌を含まないPBS由来の最大共鳴波長と大腸菌を含むPBS由来の最大共鳴波長との差(波長シフト幅)と相関がみられた。この結果から、O157用SPRセンサの検量線を作成することができたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「H24年度の研究実施計画」は、O157抗体の最適化、O157抗体の性能評価、であった。 O157抗体の最適化は、5種類のO157抗体を検討し、最適な抗体を選定済みである。O157抗体の性能評価については、SPR装置を用いて、検出限界、レスポンスタイムを明らかにした。 これに加えて、二次抗体を用いたサンドイッチ法、Protein Gを用いた配向調整法により、検出限界の低減に成功した。以下に結果を詳細に示す。直接固定法で作製したセンサチップはNoVLP濃度10の7乗個/mLにおいて、配向調整法で作製したセンサチップは10の6乗個、10の7乗個/mLにおいてシグナルが増大した。このことから、P配向調整法によって抗体の配向を一様にしたことで検出限界値を低減できることが分かった。また、サンドイッチ法では10の5乗個/mLでもシグナルのシフトがあった。これは,ウサギ血清中のノロウイルス抗体がセンサチップに捕捉されたNoVLPに結合したためであると考えられる。 以上の理由から、当初の計画以上に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、市販の抗体固定化キットを用いて抗体固定化効率のさらなる向上を目指す。抗体固定化率がセンサの肝であるため、原子間力顕微鏡や蛍光色素標識抗体を用いて、抗体固定化率を詳細に検討する。このようにしてセンサチップを最適化する。 最適化後は、実サンプル(下水、家畜糞尿、ヒトの糞便)の測定を行う。特に、前処理方法を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(6 results)