2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24656311
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
細見 正明 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90132860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 昭彦 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30434327)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 高圧ジェット / 活性汚泥 / 汚泥減容化 / 微生物破砕 / 有機物除去 / 窒素除去 / パイロットプラント / 汚泥沈降性 |
Research Abstract |
活性汚泥システムから発生する余剰汚泥の減容化を目指し、新たな活性汚泥減容化システムとして高圧噴射装置に着目した。この装置は細管で構成され、高圧ポンプ・ノズルからジェット流として供給された活性汚泥が摩擦、圧壊、衝突により活性汚泥中の微生物細胞を破砕する。この装置を容積1m3の曝気槽と汚泥沈降槽で構成される活性汚泥システムに組み込んだ新しいシステムの余剰汚泥の削減性能、処理水質、および活性汚泥中の細菌群集構造の評価を行った。高圧噴射装置を組み込んだ実験系は高圧噴射装置運転開始直後、活性汚泥中の懸濁物濃度の減少が観察され、高圧噴射装置が設置されていない対照系より汚泥の増殖が抑制された。約50日の連続運転における積算余剰汚泥量は対照系より65%削減できることが示された。高圧噴射装置適用後も有機物・窒素濃度ともに悪化は確認されず、実験系および対照系ともに有機物除去率75%、硝化率95%以上を示した。また、高圧噴射装置の導入による汚泥の沈降性や圧密性に大きな違いは見られなかった。しかしながら、処理水中のSSは装置適用後10日程度は比較的高い値であった(10 mg/L(実験系)vs.5 mg/L(対照系))。これは高圧噴射装置の汚泥分散効果に起因すると考えられ、高圧噴射装置の運転条件の最適化の必要性が示唆された。また、高圧噴射装置を適用後の活性汚泥に対して時系列的にPCR-DGGE法による細菌群集構造の解析を行ったところ、複数の特異的バンドの出現や消滅を確認でき、高圧噴射装置の影響で細菌叢が変化することが示唆された。高圧噴射装置を導入した実験系のみでグラム陽性細菌のBacillus属の存在が確認された。これらの細菌群が実験系の活性汚泥中にのみ出現する意義に関しては今後の検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた検討項目の進度にこそ違いがあるものの、予定した計画が適切であったため、計画通りに研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
高圧噴射装置を活性汚泥の余剰汚泥削減法として提案し、パイロットスケール実験の結果より、対照系の活性汚泥システムと比較して65%の減容化効果が示され、50日の運転期間中の水質悪化は確認されなかった。この成果の工学的価値を高めるために、今後は同等の成果が得られるかどうか、再現性評価を行うとともに、さらなる汚泥減容化の性能向上が図れるかの検討を行う予定である。一方で、高圧噴射装置の導入により細菌群集構造の変遷が起こる現象に対する理論的考察が欠如しているため、今後はこのメカニズム解明を行う。以上の検討により、高圧噴射装置の汚泥減容化性能のさらなる評価と雑多な細菌群が棲息する活性汚泥中のポピュレーションの人為的制御手法の可能性を見出したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度の検討により、高圧噴射装置を導入した活性汚泥システムにおいて、当初期待していた値を大幅に上回る余剰汚泥減容効果が示された。また、高圧噴射装置を導入した活性汚泥中の細菌群集構造が高圧噴射装置の導入の無い対照系と比較して大きく異なる可能性が示された。このような申請者らの想定を大きく上回る結果が得られた原因、および高圧噴射装置が細菌群集構造に及ぼす影響を探るためには、当初予定していた細菌群集構造の評価方法では解像度が十分でなく、さらなる網羅的かつ徹底した細菌群集構造の解析が必要であると判断した。そこで、この取り組みの一環として細菌群集構造の解析の解像度を劇的に上げるべく、次世代シーケンサーを用いた細菌群集構造解析を行い、高圧噴射装置の有無による活性汚泥中の細菌群の変異を時系列的かつ網羅的に評価することとした。また、上述した成果がまとまった時期が年度末であったため、次年度にさらなる細菌群集構造解析を進めた方が良いという判断に至った。 次年度の助成金の使途として、予定していた上述した高圧噴射装置の維持管理に必要な消耗品、分析用試薬の購入に加え、次世代シーケンサーの外注費に使用する予定である。
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