2012 Fiscal Year Research-status Report
流体力学的アプローチによるECCの繊維配向性の評価
Project/Area Number |
24656319
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金久保 利之 筑波大学, システム情報系, 准教授 (90261784)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 繊維補強セメント複合材料 / 配向性 / 流体解析 / 可視化 |
Research Abstract |
本研究では、引張応力場においてひび割れ発生以降疑似歪硬化性状を示す繊維補強セメント複合材料であるECC(Engineered Cementitious Composite)に焦点をあて、ECCのフレッシュ時の性状を、非常に粘性の高い流体(マトリックス)と固体(単繊維)の混相流と見なし、流体力学的アプローチによる実験的および解析的な流れ場の把握を通して、打ち込み時における繊維の配向性を評価することを目的としている。さらに、配向性の評価とECCのひび割れ性状および引張性能を関連づけ、施工性および力学性能の両者を考慮したECCの調合および打設方法を提案していく。 平成24年度は、マトリックスのフレッシュ性状時の流動性を模擬した透明な液体(珪酸ナトリウム溶液)を用い、施工時の繊維の流動挙動の可視化を行うとともに、自由表面の流体解析が可能なVOF法による流体解析手法を導入した。実験に先立ち、珪酸ナトリウム溶液の粘性をマトリックスと合致させるために、漏斗流下時間を目標として水との混合比を検討し、珪酸ナトリウム:水=12:1と決定した。流動挙動の可視化実験では、透明型枠の寸法、流し込みの位置、鉄筋の有無をパラメーターとした実験を行い、繊維の配向が打設方向、型枠壁面、液面、鉄筋のような境界面の影響を強く受けることが確認できた。流体解析では、実際のマトリックスの粘性の評価に導入している漏斗流下時間が実験結果に合致するように、解析モデルとする流体の粘性を見いだした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、「ECC のフレッシュ時の繊維配向性の可視化」と「粒子法による繊維配向性のシミュレーション」を主たる内容として計画した。前者に関しては、実際のマトリックスに近い比重を持つ珪酸ナトリウム溶液を用い、水溶液の混合割合を調整することで粘性を近づけることも可能となった。繊維に0.1mm径のPVA繊維を用いることで、特に処理を施さずに繊維の可視化が可能となり、流し込みの方向や型枠の寸法、鉄筋の有無を変動因子とした実験が可能となった。当初計画より進んだ、様々な要因の影響を検討することができた。後者に関しては、計画当初、粒子法による解析を検討していたが、上記のように可視化が容易に可能になったので、VOF法による自由表面の流体解析が可能な汎用ソフトウエアを導入し、解析モデルの設定などを簡単に変更することが可能となった。そのため、モデルのパラメーターを数多く変化させた解析を行うことができ、目標とするマトリックスの粘性と同等のモデルを見いだすことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究が想定より進展しており、引き続き、当初計画の通り、繊維配向性の可視化と流体解析によるシミュレーションを行う。 実際のECCと珪酸ナトリウム溶液を用いた可視化用供試体を同一条件で作製し、ECC供試体では加力試験を行って力学挙動の把握を行う。同時に同一条件下の流体解析を行い、可視化した繊維配向性のシミュレーションを行う。シミュレーションが実験を模擬できることが確認できれば、様々な条件下(流し込み方向、場所、型枠寸法、鉄筋の配置および量など)での解析を行い、ECCの最適な打設方法の構築に向けた検討を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|
Research Products
(1 results)