2012 Fiscal Year Research-status Report
炭酸塩化反応によるコンクリートの二酸化炭素固定技術の開発
Project/Area Number |
24656323
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
李 柱国 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (50432737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 栄治 九州産業大学, 工学部, 准教授 (10284267)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コンクリート / 二酸化炭素固定 / 密閉攪拌 / 凝結 |
Research Abstract |
大気中のCO2濃度は上昇を続けており、従来の省エネルギー技術の開発・導入等による地球温暖化対策に加えて、排出されたCO2の貯留・利用技術を将来的に導入可能な対策として開発する必要がある。セメントの主成分であるC3SとC2Sは、水分が存在する場合にはCO2と炭酸塩の生成反応を生じてコンクリートは硬化する。本研究は、CO2をコンクリートに連行し、コンクリートの通常に要求される性能およびアルカリ性を確保するとともに、炭酸塩化反応によって多量のCO2を固定するコンクリートの製造技術を開発するものである。 平成24年度では、(1) 多くのCO2をコンクリートに連行する方法を検討して、小型傾胴型重力式ミキサー、クローブボックスおよびガス濃度計などの購入によってセメントペースト、モルタルおよびコンクリートにCO2を大量に連行することができる攪拌ステムを整備した。(2) CO2を大量に混入したコンクリートの凝結時間は大幅に短縮になることを発見しした。また、凝結を遅らせるための遅延剤種類と最小添加量を検討した。(3) コンクリートに混入したCO2体積の測定方法を検討・提案した。(4) 硬化コンクリートに3~6%の空気量を混入するために、CO2の混入率によるミキサー中の炭酸ガスの濃度の設定法を検討した。(5) X線回折(XRD)と走査型電子顕微鏡(SEM)の観察によって、炭酸塩化反応を生じたセメントペースト硬化体の生成物と結晶構造およびそれらの材齢に伴う変化を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の交付申請書に記述した研究計画どおりに、研究を実施していた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の交付申請書に記述した研究を実施する予定である。前年度に整備した密閉攪拌システムを利用して、コンクリートのアルカリ性を確保するためのCO2の最大混入量および水セメント比の下限を主に検討する。また、セメントの炭酸化反応と水和反応は共に発生する場合の生成物と結晶構造を前年度に引き続き考察する。なお、CO2の混入量を制御する技術についても検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
CO2を内部に連行して炭酸塩化反応が発生したコンクリートのアルカリ性は低くなり、中性化抵抗性は通常のコンクリートより大幅に低下する恐れがある。したがって、コンクリートの促進中性化試験を行って、炭酸塩化反応を生じたコンクリートの中性化抵抗性を測定し、炭酸塩化反応の限界を検討する必要がある。 コンクリートの中性化抵抗性を測定する実験を行うために、促進中性化試験機が不可欠である。研究代表者・李柱国の研究室は促進中性化試験機を1台保有しているが、2013年1月に故障した。この装置を修理するために、前年度の研究費の使用を調整して、前年度の剰余研究費(約88万円)は、促進中性化試験機の修理に使う予定である。修理日程について既にメーカーと打合せして、6月に修理を行う予定である。
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