2012 Fiscal Year Research-status Report
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24656325
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
谷口 与史也 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30254387)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 終局耐震性能 / 限界変形 / 限界耐力 / 静的安全率 |
Research Abstract |
本研究は梁型構造物の動的崩壊あるいは限界指標に至る地震入力エネルギーを静的な構造特性で評価し,速度応答スペクトルを用いたモーダルアナリシスにより終局耐震性能を予測する方法を確立することである。まず,静的な構造特性の評価に際して,降伏耐力の固定荷重に対する比率(静的安全率),構造物の終局状態での変形性能などをパラメータとし,提案方法による結果と詳細な時刻歴応答解析結果とを比較し,精度の向上を検討した。具体的には平面ラチス構造に限定し,X型とワーレン型の2種類のラチス梁について,エネルギー吸収特性の異なるモデルとして静的弾塑性挙動において降伏後の耐力低下の少ない靭性型と耐力低下の大きい脆性型の計4種類を取り扱った。初期降伏荷重の固定荷重に対する比率,即ち静的安全率νを2,3,4の3種類とした。入力地震動はモデルの固有周期との関係を検討するために,1次の固有周期に等しい正弦波,10%周期を増した正弦波,そして人工地震波を設定した。 その結果,圧縮降伏して脆性型の静的弾塑性挙動を示すモデルは静的安全率が大きくなるに従って動的崩壊地震動レベルは上昇すること,引張降伏して靭性型となるモデルでは入力波,静的安全率に関わらず上昇が見られないことが分かった。さらに脆性型の動的応答時の上昇原因を詳細に調べた結果,塑性変形による消費エネルギーに寄ることが確認できた。以上の結果とラチスアーチ,屋根型ラチスシリンダーを対象とした既往の結果を合わせて,静的安全率と動的崩壊地震動レベルの上昇関係を整理し,具体的な評価法のフローチャートを提案することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデルの設定と解析結果の考察など予定通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
終局耐震性能の評価時に用いる限界変形に至るエネルギー吸収特性の算出時に,鉛直等分布荷重を設定していたが,既往の研究成果では地震応答時の加速度分布は質量分布形と異なることが報告されている。そこで今後は水平荷重も含めた荷重分布形の検討を行う。また水平地震動入力で上下応答の出るような架構形式も対象として同様の検討考察を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額については数値計算用の汎用スフトライセンス更新料として予算化したものであるが,本基金の使用可能時期がライセンス更新に間に合わず次年度として繰り越したものである。次年度の計算機の更新と国内旅費に充填する予定である。
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