2012 Fiscal Year Research-status Report
自立する砂を用いたCO2エコストラクチャーの創生と展開
Project/Area Number |
24656327
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
今川 憲英 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (10328510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
登坂 宣好 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (00059776)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エコストラクチャー / 二酸化炭素排出削減 / 構造素材 |
Research Abstract |
酸化硅砂にCO2を注入し硬化させることによる“自立する砂”を新しい構造素材として開発する基礎的研究を推進させてきた。初年度では、この新素材が、様々な荷重条件下で構造材としての役割を果たすことの可能性の追求を主たる目標とした。このような目標に対して次のような研究成果が得られた。 ① 新構造素材の力学的強度の検討 :圧縮・曲げ強度試験により強度の確認のみならず樹脂含浸による強度の向上性を図った。その成果に基づき耐震性能を検証するために振動実験を実施した。その状況がBS・TBS「夢の扉+」で放映されたことによって、新構造素材の有する挑戦的萌芽性が注目された。 ② 新構造素材の耐候性・耐火性・耐水性の検証:耐候性および耐火性に対する実験を継続している。さらに、耐水性の確保に関して、各種の無機混入材の検討を行った。なお、耐水性の実験において新構造素材の水中の挙動を解明するためにその基礎となる流体力学的解をまとめることができた。 ③ 新構造素材によるユニット間の接合法の開発:新構造素材によるCO2エコストラクチャーの構築に向けて逆T字型ユニットによる組積工法を検討しているが、ユニット間の接合が課題となり、接着剤の検討を重ね候補を確定しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画において最重要課題として、新構造素材の材料特性の把握を設定した。現在までに、研究実績の概要で既述したように、基本的な圧縮・曲げ強度等の試験を実施して、強度に関しては確認ができた。さらに、新素材に樹脂を含浸させることにより強度が向上することが分かった。現在、さらなる向上を目指し、各種の樹脂の含浸(方法・時間等)を検討している。 強度実験の他に、実在構造体への展開時に必要となる耐候性・耐熱性・耐水性の検証実験も開始することができた。耐候・耐火試験は企業の実験装置を用いて実行中である。耐水性に関しては、材料化学的立場から各種の無機剤を混入させた新構造素材の溶解実験を実施する段階まで進展している。 新構造素材によるエコストラクチャーの構築に際し、次年度からの解決すべく課題であると考えていた構造ユニット間の接合法に関して、新素材の特性から“接着"に着目し有効な接着剤の検討を開始することができた。なお、本年度購入した試験装置を用いて接合部の強度の確認を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で得られた基礎的な新構造素材の素材特性(力学的強度・耐候・耐熱・耐水等)をさらに向上させることにより、この新素材を用いたCO2エコストラクチャーへの展開を目指す。そのためには、素材をユニット化し、それを組積して構造物を構築する方式を考えている。今後は、この提案する構造方式の実現を目標として研究を推進させる。 特に、初年度で検討を開始したユニット間の接合法に関する基礎的研究を推進させる。すなわち、接着という接合法が可能となるのか。そのためには、接着剤の選択・接着に要する接合厚さ・接着部の接合強度の確保等解決すべく課題がたくさん存在する。その課題を精査し、その中から可能な課題をまず始めに設定し、その解決に向かって研究を推進させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題に対する研究には各種の素材(酸化硅砂・CO2・各種樹脂・ホウ酸・各種接着剤等)を大量に必要とする。したがって、次年度の研究費として、素材の購入がメインである。さらに、各種の実験を遂行し、得られたデータを整理するための補助に対する謝金および成果を検討するために行う各種のミーティングへの出張旅費である。特に、材料化学に関してアドバイスをいただいている京都大学大学院工学系研究科木村研究室で開催される検討会への出張旅費を多く計上する。
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