2013 Fiscal Year Research-status Report
住宅用エアコンの実使用時の成績係数に着目した最適設計法の開発
Project/Area Number |
24656333
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
赤林 伸一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70192458)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 淳 新潟県立大学, 国際地域学部, 教授 (90300079)
|
Keywords | 家庭用エアコン / COPマトリックス / 簡易カロリーメータ / 年平均COP / APF / カタログスタディ |
Research Abstract |
平成24年度は現状、市販されている家庭用エアコンの仕様及び性能を把握するため、大手家電メーカー9社325機種を対象としたカタログスタディを行った。カタログ値から対象機種の能力、消費電力、定格COP等の比較を行い、代表的な機種の仕様の調査を行った。その結果、暖冷房共に定格能力の上昇に伴い平均定格COPは低下する傾向があり、定格能力が約2倍上昇すると平均定格COPは1.2程度低下することが明らかとなった。これにより出力の小さい機種を複数設置し、暖冷房負荷に合わせて台数制御を行うことでCOPが向上し、消費電力量は少なくなるため、長期的に使用する場合では台数制御を行う方が省エネルギーとなる可能性があると考えられる。 平成25年度はエアコンのCOPを測定するための簡易カロリーメータの製作を行い、外気温と暖冷房出力、COPの関係を構築し、1台の家庭用エアコンを対象にCOPマトリックスデータベースの構築を行った。測定対象の家庭用エアコンでは、COPマトリックスにおいて冷房時では外気温が低い方が、暖房時では外気温が高い方がCOPが高くなり、出力が高い方がCOPが低くなることが明らかとなった。更に、熱負荷計算ソフトにより住宅モデルの熱負荷を計算し、外気温、暖冷房負荷と測定したCOPマトリックスと照合することで、1年間(8760時間)の時々刻々のCOPの算出を行った。その結果、東京地域において、カタログAPFと比較してCOPマトリックスを用いた年平均COPは1.2程度低下し、年積算電力消費量は700kWh程度増加することが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度4月に新潟大学共用スペースに簡易カロリーメータを製作し、6月から実験を行う予定で準備を進めてきたが、平成25年10月に同研究機関内に新たに竣工する研究棟に実験室を確保することができたため、建物の竣工を待ってから実験装置の製作を開始した。実験装置は室外機用チャンバー(2m×2m×2m)と室内機用チャンバー(3m×3m×2.7m)により構成され、設置後の移動は極めて困難なため、共用スペースに作成した場合には新たな研究棟に移動することは不可能である。以上の理由で実験開始時期が遅れたため、現在の研究実施状況はやや遅れていると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
測定開始当初の実験装置では、エアコンの低出力運転部分のCOPの測定が困難であったが、暖冷房負荷調整用空調機に改造を施して問題の解決を図った。現在、簡易カロリーメータを用いて家庭用エアコン5台を対象にそれぞれの風量に応じたCOPマトリックスを構築中である。今後は測定したCOPマトリックスを熱負荷計算用ソフトと錬成して1年間(8,760時間)のCOPを算出することで年間の電力消費量を求める。暖冷房負荷に応じて各エアコンを1台ずつ設置した場合、台数制御を行った場合の年間電力消費量を比較し、住宅の断熱性能と地域条件に応じて最適な家庭用エアコン機種及び台数を選定するシミュレーターの開発を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年は4月に新潟大学共用スペースに実験装置(簡易カロリーメータ)を作成し、6月から実際のエアコンを対象に各種条件でのCOPの測定を行う予定で準備を進めてきた。しかし、平成25年10月に、本研究機関に新たに研究棟が竣工することが決まり、ここにスペースを確保することが出来ることになったので、建物の竣工を待って実験装置の制作を行った。実験装置は移動が困難な為、共用スペースに作成すると新たな研究棟に移動することは不可能である。これにより、実験開始が計画より半年程度遅れたため、未使用額が発生した。 新たに測定対象の家庭用エアコンを購入し、今年度製作した実験装置により、引き続き実験を行う。又、研究成果は国際会議において発表を行う予定である。未使用額は物品費と旅費に充てることとする。
|
Research Products
(4 results)