2012 Fiscal Year Research-status Report
PCMと除湿材を併用した等温除湿空調システムの開発
Project/Area Number |
24656337
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
桃井 良尚 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40506870)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | デシカント / PCM / 除湿 / 水分ポテンシャル / シリカゲル |
Research Abstract |
本研究では、除湿材とPCM(相変化材料)を併用した等温除湿装置の最適化を行うことを目的としている。そのために、まず、第一段階として、既往のデシカントローターを対象として熱・水蒸気移動現象をシミュレーションできる数値解析モデルの改良を行った。デシカント空調の除湿性能を予測する数値解析手法の研究はいくつか行われており、既往研究において、研究代表者らは、空気・吸着剤間の境膜拡散抵抗だけを考慮するGSR(gas-side resistance) モデルに基づき、 熱・水蒸気輸送に関する基礎式を導出している。しかし、このモデルでは、物理現象を正確に再現するモデルにはなっておらず、実験値に基づいてチューニングが必要であることがわかっている。また、GSRモデルでは、絶対湿度差を水蒸気移動の駆動力として定式化することが多いが、熱と水蒸気が同時に移動するとする水分ポテンシャル差を駆動力とした定式の方が実際の物理現象を正確に表現することができることが指摘されている。そこで、GSRモデルにおいて、これら二つの駆動力( 絶対湿度差と水分ポテンシャル差) による除湿材表面の湿気移動を定式化する。実験結果より、二つの駆動力による各モデルの総括物質移動係数を同定し、比較を行った。 また、空気・吸着剤間の境膜拡散抵抗と吸着剤内の水蒸気拡散抵抗の両方を考慮するGSSR(gas and solid-side resistance) モデルによる定式化を行い、GSRモデルとの比較を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年11月に、実験に使用する試料(PCMおよび除湿材)を所定のサイズに製作する過程において、製作依頼をしていた協力材料メーカーでの開発の大幅な遅延が発生した。そのため、試作品納品が遅れ、その後の性能試験の延期が生じた。そのため、平成24年度については、既往の実験結果を基に数値解析モデルの改良を中心に研究を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
数値計算モデルの改良と並行し、デシカント材料とPCMの熱物性測定及び試作装置による除湿性能試験の実験を進める。これらの実験結果より、両者を同時に使用した場合の最適な組み合わせ方法の検討を実験及び数値計算により実施する。最終的には、具体的なデシカント空調システムを提案し、各種パラメータ(風速、再生温度、除湿材・PCMの大きさなど)を変化させてシミュレーションを行い、除湿剤とPCMを併用したシステム全体の高効率化、最適化を図る。また拡張アメダスデータを用いて日本各地の気象条件の下でシステムシミュレーションを実施し、実用化に向けての性能評価を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に実施ができなかったPCMおよび粒状除湿材の熱物性測定及び伝熱モデルの開発を行う。そのための実験装置として、温湿度供給装置(180万円)や平衡含水率測定装置(40万円)等の製作を行う。また、実験に必要なダクトや断熱材料および実験資料の購入に研究費を使用する。
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