2014 Fiscal Year Annual Research Report
開発途上国におけるプレハブ型仮設・復興住宅の持続的利用に関する調査研究
Project/Area Number |
24656345
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 香織 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20322349)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トルコ共和国 / 台湾 / 震災 / 移設 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は台湾を対象として、災害後の住宅供給システムと供給された仮設・復興住宅の現在までの利用の実態について明らかにした。具体的な調査方法と成果は以下の通りである。 ①現地で有識者を対象に聞き取り調査を実施し、1999年集集地震や2009年八八水害後の仮設・復興住宅の供給活動について実態を整理した。集集地震では仮設住宅供給後のスラム化や目的外の使用が問題視され、復興住宅の供給が優先される傾向にあった。 ②1999年集集地震後のプレハブの仮設住宅の2団地、先住民族に対する復興住宅の3団地を対象として、現在に至るまでの利用の実態を現地調査によって明らかにした。南投県に建設された仮設住宅は、2008年に高齢者施設に転用され、現在も運営されていた。目立った劣化・損傷は確認されず、建物は健全な状態であった。先住民族を対象に建設された3団地は、いずれも恒久的な住宅として災害後に供給されたが、これまで増改築が積極的になされ、住み手によって独自に居住環境が整えられていた。
過去3年間で調査を行った、トルコ・台湾におけるプレハブ仮設住宅の移設・供給事業を対象として、その有効性を資源投入量と費用の2点から検証した。その結果、仮設住宅として利用され(一次利用)、その後異なる用途として二次利用される場合は、現地で同程度の仕様の建物が新築される場合に比べ、投入資源量を抑えることができる。しかし、移設に伴う解体費・搬送費は関係主体にとって大きな負担になる。持続的な利用を実現する上では、増改築がどの程度許容されるか、所有権の移転の可能性と容易さの検討が必要である。
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