2012 Fiscal Year Research-status Report
アジア都市のスプロール市街地における動的オーセンティシティ評価を用いた環境設計法
Project/Area Number |
24656346
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神吉 紀世子 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70243061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小浦 久子 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30243174)
工藤 和美 明石工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40311055)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スプロール市街地 / 市街地再生 / 動的オーセンティシティ / 景観 / 環境設計 / バンコク |
Research Abstract |
本研究は、無秩序で問題の多い市街地とみなされることが一般的であるスプロール市街地に対して、形成後数十年を経過するなかで身近な市街地環境として認知されている側面もあることから、そこに潜在する魅力化の可能性に着目した環境設計手法を案出することを目的としている。 初年度である平成24年度は、国内外の2事例を主たる対象地としてとりあげて、調査に着手した。調査は当初の調査計画に沿って、(1)旧版地形図、各種地図、旧版空中写真、古写真などの時代ごとの環境判読が可能な資料の収集とその判読、(2)現地踏査・計測による(1)で判読された「変化」経過痕跡の発見と抽出、(3)住民・元住民等の関係者へヒアリング調査による「変化」経過の同定の3段階で行っている。 国外では、タイ・バンコク大都市圏の郊外エリアをとりあげ、圃場整備事業履歴があり、道路網と水路網が矩形区画の街区に沿って並走していることが特徴であるパトゥンタニ県をまずとりあげ、(1)(2)(3)の調査を実施した結果、圃場整備時の既存集落の移転配置、近年のGated Community開発について住宅種別で異なる開発地内の配置計画、住民の地域活動の現状等を把握した。また、平成25年度から調査着手の予定であったノンタブリ県の調査も一部開始することができた。 国内では神戸市長田区北部山麓地を対象とし、(1)(2)については作業を進め、大正期以降の斜面地であるため開発に伴い擁壁が現れることから、その築造・改修・増築の過程が使用建材や施工法の変化に着目することで現地で視認できることを把握し、立体的に生じた「変化」経過を把握することができ、現在これを踏まえて(3)の調査の準備を進めている。 このほか次年度以降の国内の調査予定地についての地図資料等の収集等に一部着手したほか興味深い研究対象地についての情報収集等を並行して行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神戸市長田区北部山麓地のヒアリング調査については年度内に実施することを想定していたが、その準備は行っているものの調査実施は平成25年度にずれ込むこととなった。一方、国外事例等平成25年度に実施することを予定していた作業の一部に着手できたものがあることから、総じてみればおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、ひきつづき対象地における調査を中心に進める。 国外事例としてはバンコク大都市圏の2事例を継続してとりあげ、とりわけノンタブリ県の調査と分析に注力する。この対象地は圃場整備履歴がなく、伝統的な水路網と集落・農地分布の空間性と、それらに整合しない道路網計画によって新規開発が行われているため、新旧の環境の間の不整合が生じやすいが同時に新旧ともに並存するエリアとなってきた対象地である。国内事例については、平成24年度内に着手できなかった、神戸市長田区北部山麓地のヒアリング等の調査を早期に実施する予定である。さらに京都市内等で予定している国内事例の調査を開始し分析を進める。 また、平成25年度以降は2年度めに入るので、調査成果を踏まえた研究発表やワークショップ参加等を順次進めることとし、これらによって研究内容の深化を進める。 平成26年度には、これら調査成果をふまえて環境設計手法の検討を重点的に進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の当初予定のうち、ヒアリング調査等の実施時期のずれ込みによってその一部を平成25年度に行うことになったため、平成24年度交付額の一部を平成25年度に繰り越している。 このほか、平成25年度以降に予定していた国内外事例調査について、平成24年度内に一部の資料の収集ができたこともあり、当初予定より少し減額して平成25年度の交付申請額を設定した。
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Research Products
(1 results)