2014 Fiscal Year Annual Research Report
歴史的風致における地域活動の景観意匠化に関する研究
Project/Area Number |
24656349
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
増井 正哉 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (40190350)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歴史的風致 / 地域活動 / 祭礼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、歴史的風致の形成と地域活動(伝統的祭礼行事など)の関係を考察する研究の最終年度にあたる。当初の調査研究予定地に加えて、昨年度までに研究の対象地として選定した、奈良県大和郡山市番条集落、滋賀県大津市、滋賀県蒲生郡日野町において、継続的に調査を実施した。 大和郡山市番条集落は奈良盆地を代表する環濠集落であるが、集落内で行われる「四国八十八カ所巡り」に注目し、その空間利用と演出の調査を行った。その結果、いわいる「囲い造り」の民家が構成するコンパクトな集落空間のなかで、長屋門や通りに面した門構えを活用した小祠配置が注目された。こうした通りと屋敷内をつなぐ空間の活用と、歴史的風致の形成に深い関係性があることが示唆された。大津市では、本年度も大津祭の空間演出に関する調査を行ったが、近年策定された市街地における建築物のガイドラインに、大津祭時の演出に対する配慮の項目が加えられ、そのガイドラインに沿って建設された建物における演出が注目された。日野町でも、昨年に引き続き日野祭の調査を行ったが、近年に設けられた桟敷窓の意匠とその活用が注目された。 以上、昨年度までの調査・研究の成果に本年度新しく得られた知見を加えて、とりまとめ作業を行った。その結果、1)祭礼に代表される伝統的行事が、歴史的風致を構成する建築形態をうまく活用していること、2)伝統的行事の空間利用・演出が建築形態に影響を与えていること、3)こうした祭礼時の空間利用と演出に着目した建築更新のガイドラインも見られるようになり、その有用性を検討する必要性があることが明らかになった。
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