2012 Fiscal Year Research-status Report
非制度依存型地域ケア施設の継続的実践分析に基づく地域生活支援システム・環境の構築
Project/Area Number |
24656350
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
竹宮 健司 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (70295476)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 非制度依存 / 地域ケア施設 / 宅老所 / 緩和ケア有床診療所 / がんサロン / 重症心身障がい児者レスパイトケア施設 |
Research Abstract |
急速な少子高齢化の進展に伴い,現行の医療・福祉制度では十分な対応ができていない人々を,制度に頼らず独自の活動で支援する取り組みが見られるようになった.特に,高齢者福祉,がん医療,障害者福祉の分野での活動が顕著に見られ,利用者からの支持を得ている.こうした取り組みの共通点は,住み慣れた地域での在宅生活を基軸に据えたケア・支援の一環として,在宅生活を補完する施設を独自に創出している点にある. 本研究では,これらの施設を 非制度依存型地域ケア施設と捉え,同施設の実践状況を長期間に亘り継続的に把握し,在宅での生活を基盤とするこれからの地域生活支援システムとそのケア施設の環境のあり方を明らかにすることを目的とする. 本年度は,非制度依存型地域ケア施設と定義した以下の4施設を対象として,施設運営・施設利用実態調査を実施した.1)宅老所に関しては,東京都内の宅老所を対象として,同施設の開設時からの13年間の運営・利用の変遷を実証的に明らかにした.また,同施設で7年前に実施済みの施設内利用実態調査と同様調査を行い,両者の比較分析を行った.愛媛県の託老所を対象として ,季節毎の施設内利用実態調査を行い古民家の空間構成の有用性について検討を行った.2)緩和ケア有床診療所については,千葉県の有床診療所において,参与観察調査を実施し,定性的なデータをもとに分析を行った.3)がんサロンについては,島根県のがんサロンを対象とした利用実態調査を行った.また,全国のがんサロンの施設分布,施設概要に関する調査を実施した.4)重症障がい児者レスパイトケア施設については,重症心身障害児施設におけるデイケアの実態および重症児者の受入状況に関する実態調査,先進的レスパイトケア施設の訪問ヒアリング調査,在宅療養中の人工呼吸器装着児の保護者を対象としたアンケート調査を実施し,同施設の施設計画要件について分析した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,宅老所,緩和ケア有床診療所,がんサロン,重症障がい児者レスパイトケア施設において,①利用者属性調査,②施設空間構成・設備実測調査,③施設スタッフへのヒアリング調査,が完了した.一部の施設ついては,④施設利用実態調査(非参与型観察調査)を行い,今後の継続調査の基礎となる施設環境・利用データベースが完成した.現在,こうした研究成果について,日本建築学会等で口頭発表を行うとともに学術論文としての投稿を準備している.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,上記4施設について,さらに対象を広げると共に,継続的な実地調査を行い,多角的・横断的な分析を行う.この分析結果を調査対象施設に報告し,実践者と共に今後の地域生活支援施設に向けた包括的な討議を行い,本研究の総合的な提言をまとめる予定である.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費を計画より抑えることができ,繰り越し額が生じた. 本年度は,この繰り越し額を含めて,研究目的を達成すべく上記4施設の実地調査を中心とした支出を予定している.
|