2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24656353
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
瀬戸 眞弓 日本工業大学, 工学部, 教授 (20550891)
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Keywords | 歩行面 / 硬さ / 評価方法 / 40代 / 脳波測定 / 脳波α波 / 脳波β波 / 通常歩行 |
Research Abstract |
本研究は、日常生活に支障のない健常な60歳以上の男女を対象者とし、歩行面の硬さ等の異なる散歩道を歩行している時の脳の活性化を検討することを目的とする研究であるが、当該年度においては、その評価方法の検討を行った。その評価の方法を求めるための実験として、携帯可能な簡易型脳波計を使用して、脳に障害のない健常な成人男女の各年代を対象者とし、硬さが異なる歩行面を素足で歩行する時の、脳波α波(8~13Hz)とβ波(13~30Hz)の発生状況を調べた。具体的には40~49歳までの男女10人において、実験課題を与え、その課題実行中の脳波を測定した。課題は、①開眼の状態で立位、②開眼の状態で室内通路床(塩化ビニールタイル)上を通常速度(毎時3km前後、以下同様)で歩行、③開眼の状態で発泡スチロール板(厚さ:100㎜、硬度:0.43)上を通常速度で歩行、④開眼の状態で薄手スポンジマット(厚さ:55㎜、硬度:0.1)上を通常速度で歩行、⑤開眼の状態で厚手スポンジマット(厚さ:115㎜、硬度<0.1)を通常歩行の5課題であり、対象者に各課題を、5分間ずつ、ランダムに継続して行ってもらった。また、脳波測定中は、一定のルールに則った簡易な計算問題を暗算で実行し続けてもらい、実験中の各対象者の思考内容をできるだけ統一し、発現脳波中に対象者固有の原因による発現脳波が含まれるのを防いだ。また、実験は、比較的静穏な環境において行われたが、建物界壁や窓を通して聞こえる生活音は敢えて防ぐことはしなかった。 以上の実験より得られたデータを解析し、検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度4月早々から6月半ばまで、当該研究のための実験実施している建物に近接している敷地において、校舎の新築工事が始まり、地盤調査から杭打ち工事、鉄筋鉄骨組み立て工事と、実験場所は、大きな騒音が止まない環境に終始晒された。本研究は、脳波測定実験によるデータによって進める研究であり、測定中の過大な聴覚刺激に起因する脳波の出現によって、研究本来の脳波測定が不可能な期間が続いた。また、脳波の性質上、実験場所の変更はこれまでの実験データを台無しにするに等しい。従って、残念ながら研究が遅れざるを得なかった。 また、10月末に入っても気温が夏季よりも下がらないため室温を一定に保てず、実験時の、脳波測定電極の頭部への装着状態が、発汗のせいで非常に悪化し、正確な実験データが得られないことから、実験を中止せざるを得なかったことなども、実験再開等がやや遅れた原因になった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらにどう課題を50~59歳代、60~69歳代と進め、散歩道の歩行面の硬さによって歩行時の脳波の発生の状況から、とくに脳波α波、β波の脳波成分の発現状況に注目して、脳の活性化を評価する方法を検討する。そして、散歩道における、硬さからみた、脳が活性化する歩行面素材の開発への提案へとつなぐ。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究における実験環境の悪化における、止むを得ない実験中止の期間があったため、必要な実験データが求められなかった。従って、データの分析にまで至らず、それに関するソフト、及びプログラミング開発費用が使用されなかった。また、学会発表等に関わる費用等も使用しなかったためである。 本年度は実験の対象者の年代をさらに20人以上に広げ、収集した脳波の測定データを分析し、評価方法の検討をする。また、各関連学会での口頭発表会や学会誌へ成果を発表する予定である。また、成果論文の構築のための、国内外の専門書の購入を予定している。
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