2012 Fiscal Year Research-status Report
発達障害児の特性と運動アセスメントに基づく感覚的空間認識の為の環境整備手法の構築
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24656357
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
田中 直人 摂南大学, 理工学部, 教授 (60248169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 三千子 摂南大学, 理工学部, 教授 (70288968)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 発達障害児 / 空間認識 / 運動アセスメント / TEACCH / 行動特性 |
Research Abstract |
研究1年次に当たる当該年度においては、本研究において最も重要であると考えられる、医療・療育機関及びNPO法人を含めた研究実施体制を確立した。 本研究における倫理面への配慮については、研究代表者が所属する大学及び協力機関における「倫理委員会」への申請を行い承認を受けた。これにより次年度以降における全面的な協力体制を確立した。その過程において、研究実施方法を含め、必要な倫理面への配慮について議論を重ね、今後の研究方針の検討を行った。 実際の研究・データ収集については、 ①発達障害児を育てる親の育児手記を基にした文献調査から、日常生活において困難を感じる子どもの感覚特性・行動特性、及びこれらに影響を及ぼす環境事物について基礎的データの収集・整理を行った。次に②協力を得られた医療機関及びNPO法人を通じ、発達障害児を育てる親への意識調査(アンケート調査及びヒアリング)を行い、「日常生活における子どもの行動及び感覚特性」、「親が感じている困難さに」について、子どもの診断名及び年齢別などの集計・分析を行い、その傾向を把握すると共に、発達障害児の行動などに影響を及ぼすと考えられる環境事物の抽出を行った。③一部の協力者に依頼し、より詳細なヒアリング調査を実施し、アンケートでは聞き出せない具体的な意見の収集・整理を行った。 上記に加え、NPO法人(LD親の会など)が主催する定期会に出席し、発達障害児の保護者から、生きた意見の収集を行った。これらの結果を取りまとめ、日本建築学会・福祉のまちづくり学会への論文投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度においては、研究実施体制・協力機関との連携体制を確立することができ、今後の研究実施の為の基盤づくりを行った。これにより、本研究の重要課題である「建築分野と医療・療育分野との連携」を行い、研究を実施する為の基盤を整えることができた。 上記の結果、医療・療育機関の全面的な研究協力により、通常では困難な発達障害児を育てる親とのコンタクト及び調査協力を頂くことができ、子どもの反応・行動特性、現状での困難さなどの基礎的データの収取は、おおむね順調に進展している。 上記と並行して行った既往研究及び各文献資料の収集・整理については、研究協力機関・NPO法人などからの資料提供を受け、幅広い資料を収集・整理することができ、本研究における協力実施体制を活かした成果をあげることができている。 これらに加え、25年度に実施を予定している「発達障害児・定型発達児に対する空間記憶・イメージ評価実験」の準備を進め、特にその際に使用すべきアセスメントツールについて、医師・臨床心理士からの意見を含め検討を行い、より効果的な実験実施方法の検討を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度については下記の調査・実験を実施し、研究を進める。 ①国内外における先進的療育関連施設の事例調査/療育環境における「環境要素の整理・表示方法」・「強調・抑制を行なっている環境要素」の抽出を行い、「環境要素の視覚的な表示・整理方法に関する現状把握」を行う。これにより、発達障害児の空間認知・記憶に有効と考えられている要素を抽出する。 ②発達障害児・定型発達児に対する空間記憶・イメージ評価実験/写真及び日常生活空間の描画再現実験を行い、描画事物及び再現手順から空間認知・記憶のKEYとなる環境要素を抽出する。加えて、実験時には定点カメラにより描画状況を記録し、描画手順から要素の相互関係及び空間認知の形成過程を分析する。 上記実験と並行して運動アセスメントを用いた日常の問題行動評価を各被験者に対し実施し、日常生活の問題行動に関する評価を行う。これにより、発達障害児における日常の問題行動の主要因子を抽出する。上記の実験・アセスメント結果を基に、発達障害児の日常の問題行動の傾向と空間認知・記憶に役立つ環境要素の関係性を分析・考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の主な研究費の使用計画は下記の通りである。 ①国内外における先進的療育関連施設の事例調査の為の旅費及び視察先での資料提供費など。②上記調査結果取りまとめの為の研究補助 謝金。③「空間記憶・イメージ評価実験」の為の実験環境設営費、及び被験者などの協力者謝金・交通費など。④上記実験結果取りまとめの為の研究補助、謝金。⑤研究成果の学会発表費。⑥研究協力機関との打合せの為の旅費など
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Research Products
(4 results)