2012 Fiscal Year Research-status Report
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24656365
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
蔡 安邦 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90225681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出村 雅彦 独立行政法人物質・材料研究機構, 環境・エネルギー材料部門 水素利用材料ユニット 合金触媒材料グループ, 主任研究員 (10354177)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 準結晶 / 後方電子散乱回折 / 方位決定 / 集合組織 |
Research Abstract |
2012年度において、正20面体準結晶に適用する後方電子散乱回折(EBSD)の解析ソフトの作成、準結晶試料作製および実際に準結晶の菊池パターンの撮影を同時進行させた。いくつかの準結晶試料について測定した結果、本研究が開発したシステムが適用できることを検証した。 (1) 準結晶は結晶にない対称性を示すために、走査電子顕微鏡に装備されている市販のEBSDが準結晶の菊池パターンを読み取って、準結晶粒と観測されている試料面との方位関係を瞬時に解析することができない。そのために、準結晶に特化した解析ソフトを作成した。 (2) Al-Cu-Fe準結晶多結晶試料を調べた結果、準結晶の菊池パターンが明瞭にとることができた。しかし、試料全体の準結晶粒の間には方位関係が存在しないことが明らかになった。Al-Cu-Fe系準結晶は液相から直接形成することなく、化合物と液相との間に包晶反応を経て形成するので、各々粒の準結晶粒が成長したため、準結晶粒同士には方位関係が存在しないと推察される。 (3) 一方、Mg-Cd―Yb系において準結晶/Mgの共晶組織を異なる速度で一方向凝固させた後、開発したソフトで検証した結果、数百mmの領域に渡り、準結晶とMgの両相はいずれも同じ方位に向いていることが明らかになった。また、両相の間にも一定な方位関係が存在し、Mgのc軸と柱面軸それぞれ準結晶のある2回対称軸とある5回対称軸に平行していることが分かった。この方位関係は、両相の特定な格子面間隔が極めて近いことに由来し、安定な共晶組織を形成する原因にもなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
準結晶の回折パターンは結晶と異なるので、方位解析するために高次元の座標系を用いる必要があることと、準結晶に周期性がないためにその回折バンドが明瞭現れないことが心配されていたが、思ったより順調に進んだ。準結晶が極めて硬いことで、観察前の研磨が通常の金属に比べて楽で仕上がりが良かったため、準結晶のパターンがきれいにとれたことも一因である。予定では、2012年度中に準結晶のみの解析を行うことであったが、実際に準結晶/ Mg結晶の方位関係まで調べたことは大きな進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
全体的に予定より進んでいるので、全体の研究スケジュールを早まるだけなので、特に研究推進に大きく変化することはない。今後は以下に研究を推進する。(1)現時点ではNIMSのSEMの回折パターンで解析しているが、今年度では多元研のSEMにも適用できるようにソフトに若干の変更を加える。(2)正10角形準結晶の方位解析ソフトの開発と同時に、正10角形準結晶の単結晶と多結晶試料の作製と回折パターンの撮影を行う。(3)準結晶/Mgの共晶組織の解析に成功した結果を論文にまとめて発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究において解析ソフトが自作したことに伴い発生した未使用額であり、 平成25年度請求額を合わせて、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)