2013 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡エネルギーを用いた非加熱形成による透明酸化亜鉛膜の創製
Project/Area Number |
24656373
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 泰光 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (50624003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下位 法弘 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (40624002)
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Keywords | 酸化亜鉛 / 電子線 / プラズマ / 非平衡反応場 / 非加熱成膜 |
Research Abstract |
本研究は湿式プロセスで構築した塗膜の非平衡反応場の応用による非加熱型酸化亜鉛透明導電膜の構築を目的とする。一般的に酸化亜鉛による透明導電膜の構築には、酸素雰囲気の制御が必要不可欠であり、そのための製造設備として真空技術の制御が必須であった。酸化亜鉛透明導電膜の構築研究は従来多方面で展開されているが、本研究は従来の製法技術を踏襲せず、湿式塗布プロセスを用い非加熱による透明導電膜の構築を試みた。 具体的に、酸化亜鉛サブミクロン粒子と亜鉛錯体を均一に分散した塗料を作成後、塗布プロセスで連続薄膜を形成する。当該薄膜に電子線・プラズマ雰囲気を照射することにより、酸化亜鉛粒子に付着した亜鉛イオン(錯体からかい離)と酸化亜鉛表面に露出した未結合手(ダングリングボンド)の架橋反応から導電連続膜が形成された。電子線及びプラズマ雰囲気は非平衡反応場として作用し、加熱プロセス無しに連続膜を形成し得る手法として本プロセスを見出すことに成功している。その際、電子線の照射エネルギーの制御により薄膜の導電率が変化する現象を見出し、電子線照射後の酸化亜鉛表面に局在する亜鉛イオンの酸化数の変化により架橋反応が制御されるメカニズムを発見した。本プロセスは、酸化亜鉛膜を半金属・半導体膜として制御する可能性を示唆している。 さらに本研究成果により、電子線とプラズマ雰囲気照射により加熱プロセスを経ることなく酸化亜鉛膜の導電性を制御する手法を確立することが可能になった。さらに透明性の向上により光学的付加を持ち合わせることで、酸化亜鉛の光学的吸収端を活かし紫外光による太陽光発電素子の構築も可能になり、シリコンによる太陽光発電素子との組み合わせで太陽光からの発電効率を向上することも可能になる。しかし、光学透明性において現時点では非加熱で形成した薄膜が白濁化しており、今後は白濁を除去するプロセス技術の確立が必要になる。
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