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2012 Fiscal Year Research-status Report

酸素不定比性酸化物における欠陥平衡の応力による変調

Research Project

Project/Area Number 24656375
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

川田 達也  東北大学, 環境科学研究科, 教授 (10271983)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords不定比性酸化物 / 酸素空孔 / 格子間酸素 / 欠陥平衡 / 応力 / 起電力 / 酸素ポテンシャル
Research Abstract

本研究は,酸化物の酸素欠陥の生成・消滅の熱力学平衡を力学的な応力によって変化させ得ることを実験的に立証し,応力が欠陥平衡に及ぼす影響について,熱力学的な記述を可能にすることを目的としている。
平成24年度は,①試料の合成,②実証・スクリーニング試験の実施,および③定量化試験装置の設計・試作を行った。
① 測定対象として,期首計画で想定したLa0.6Sr0.4Co1-xFexO3-d,(LSCF),La0.6Sr0.4CoO3-d(LSC),Ln2NiO4+δ(LNF214)に加え,金属イオン不足型の不定比性を示すLaMnO3(LM)を合成・焼結し,実験に供した。
② 球状のYSZを圧子兼酸素センサとして用い,万能試験装置を用いて,試料表面に押し込み,試料上に設けた電極と参照極との間の電位を計測した。この結果,LSCFとLSCについて,押し込み時に負の電位シフトを,除荷時に正の電位シフトを観察した。これらは酸素欠陥平衡の変化としてよく説明できた。LNF214およびLMについては明確な信号は得られなかった。これにより,平衡酸素ポテンシャルのシフトがみられるのは,酸素不定比性が雰囲気酸素分圧近傍で大きな酸化物に限られるものと結論した。LNFについても,この雰囲気で酸素過剰型の不定比性をとることが知られているが,応力の印加による酸素ポテンシャルの変化が見られなかったのは,不定比性に伴って,格子定数は変化するものの,異方性が大きく,格子体積の変化としては僅かであることが原因と考えている。
③ より定量的な解析を行うために,均質な応力場を発生させる各種の方法を検討した。しかし,試料の破壊に至らない範囲で,その一部に大きな応力場を生じさせる方法としては,インデンテーション法が最も効果的であったため,本年度は,インデンテーション法による応力場をより詳細に解析することで,目的を達成することにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

期首計画のうち,①試料の合成および②実証・スクリーニング試験の実施については,計画していた範囲を越えて実施することができた。特に,類似の結晶構造内に異なる欠陥種を有する複数の酸化物を合成し,応力印加時の挙動を把握する事で,欠陥平衡における機械-化学カップリングの発生要因を明らかにすることができた。
一方,定量化のための実験手法の改良/装置の改造については,いくつかの手法を検討したものの,当初考えた酸素センサをインデンターとして用いる方法に勝ものが得られていない。この手法では試料とセンサ界面の電位発生場所に応力分布が生じるが,球体のインデンテーションに関する報告等を参照し混成電位の考え方により定量化を進めることとした。

Strategy for Future Research Activity

平成25年度には,初年度のスクリーニング試験によって選定したLSC,LSCFを対象として,より定量を進める事とする。このために,酸素分圧を制御して高温でのインデンテーション試験が可能な試験装置を作製し,起電力の酸素分圧依存を測定することで,応力印可時の酸素不定比性の等温線を描く事を試みる。また,このときの欠陥生成エネルギーの変化量と,欠陥の有効体積(欠陥生成に伴う体積変化)との関連を明らかにする。また応力印加に伴う非定常応答をより正確に測定するためのノイズ対策およびデータ取得方法の改良を行う。
一方,これまで起電力シフトが見られた試料は酸素欠陥生成が雰囲気酸素分圧近傍で生じるものであることに着目し,酸素不定比の変化幅(化学容量)が酸素分圧によって大きく変化する材料(LaCrO3等)について,同様の実験を行うことを予定している。これにより,欠陥平衡への応力効果がより明確になると期待できる。
得られた結果はをとりまとめ,国際学術誌に投稿するとともに,国内外の学会にて発表する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

頭書計画では,定量化をすすめる方法として新たな試験方法を開発することを予定しており,その装置の作製に係る経費を予定していたが,現状の方法に比べて優れた手法が見つからなかったため,現状手法をより精度良く測定・解析する方向に研究をシフトした。このため,頭書予定の材料等を購入する必要がなくなった一方で,詳細解析のための測定系を整備する必要が生じた。昨年度末に高速デジタイザを購入したが,精度の高い測定のために,さらにいくつかの周辺部品などが必要となる。今後詳細な仕様を検討しながら進める予定であり,このために昨年度の残額を使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2012

All Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] Influence of Mechanical Stress on Oxygen Potential in Nonstoichiometric Oxides2012

    • Author(s)
      Tomohisa Masumitsu, Satoshi Watanabe, Shin-ichi Hashimoto, Koji. Amezawa, and Tatsuya Kawada
    • Organizer
      ECI Conference Series "Nonstoichiometric Compounds V"
    • Place of Presentation
      Sicily, Italy
    • Year and Date
      20120923-20120928
  • [Presentation] Compositional and Mechanical Stabilities of a (La,Sr)(Co,Fe)O3-δ Cathode under SOFC Operation2012

    • Author(s)
      Tatsuya Kawada, Mi Young Oh, Hidetaka Watanabe, Yuta Kimura, Yoshinobu Fujimaki, Tomohisa Masumitsu, Satoshi Watanabe, Shin-ichi Hashimoto, and Koji Amezawa
    • Organizer
      "Ionic and Mixed Conducting Ceramics 8" in 221st Electrochemical Society Meeting
    • Place of Presentation
      Seattle, WA, USA
    • Year and Date
      20120506-20120510
    • Invited

URL: 

Published: 2014-07-24  

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