2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24656377
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梶谷 剛 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (80134039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 慶 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70360625)
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Keywords | 廃熱利用 / 電子・電気材料 / 焦電発電 / 強誘電体 / キュリー温度 |
Research Abstract |
本年度の研究は主に強誘電体の焦電性能の原因とその高性能化要因を実験的、理論的に研究した。焦電性能の高い誘電体として、前年度詳しく実験的に研究した。BaTiO3系を初め、PbZrO3系, AgNbO3系、LiNbO3系の電子構造と高誘電性の関係について第一原理計算を行った。幾つかの誘電体に電場で磁気双極子、磁場で誘電分極を起こす、いわゆるマルチフェロイック現象が見付かっているが、その原因について電子構造から議論することに成功した。計算の結果、高い誘電分極をもつ強誘電相のフェルミ面直下から-3eV付近に電子濃度の大きなd電子のバンドがあり、TiO6, ZrO6あるいはNbO6八面体の局所的な変形や磁性(スピン軌道相互作用)と結び付いていることが分かった。BaTiO3系について常誘電性の立方晶と強誘電性の正方晶について、丁寧な第一原理計算を行った。強誘電相への転移によりTiO6八面体が変形するほかTiとOの電荷に変化があることが分かった。常誘電相に比べ、強誘電相では双方のイオンからおよそ0.14個の電子が格子間に逃げ出して、イオン性の高い状態になっていた。従来、誘電体と磁性体は結晶構造が似ているものの、電子構造的には関係のない物質系のように考えられてきた。しかし、幾つかの導電性固体において、低温領域においてマルチフェロイック現象が発見され、磁性と誘電性には何か共通する部分があることが明らかになっている。本研究により典型的な強誘電物質と呼ばれる上記結晶でもフェルミ面近傍のd電子が結晶構造の安定性に深く関わっていることが分かった。本研究は実用的な焦電デバイスの創製を目指してきたが、磁性の係わる焦電性能にも実用化の可能性があることが分かった。
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Research Products
(15 results)