2012 Fiscal Year Research-status Report
外部力学場による微粒子規則集積体の高速作製と配列機構の解明
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24656384
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
武藤 浩行 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20293756)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 規則構造 / 微粒子 / 電場 |
Research Abstract |
単分散微粒子の二次元、三次元規則配列粒子集積体を、効率よく作製する手法を確立することを目的に研究を遂行した。デバイスへ等への実用化を意識して、サブミクロン(300~1000nm)の微粒子を規則配列させる手法を開発した。特に、短時間での大寸法稠密構造体作製を目指し、重畳電場による機械的外部刺激を用いる新規な作製装置を提案することができた。最適条件を検討するために、個別要素法を用いた各種力学刺激における単分散微粒子の運動のコンピューターシミュレーションを行い、効率よく目的材料を作製するための指針を確立できた。 特に、大面積(二次元)、大容量(三次元)の微粒子規則構造を作製するために、直流・交流重畳電場により誘起される動的振動を駆動力により、粒子集積体内部に残存する点、線欠陥を効果的に除去する手法を確立した。 二次元集積体作製用の直流・交流重畳電場負荷装置を制作し、直流電場により、微粒子を方向に電気泳動させることで、電極周辺に集積構造を作製した。その後、直流電場を付与しつつ、交流電場を重畳させた結果、個々の粒子に動的な振動エネルギーを付与させることができ、粒子グループの回転、並進運動を誘起させ、欠陥除去が可能であることが示され、配列メカニズムを明らかにする事ができた。同様に、三次元周期構造の作製において、自然沈降中の粒子に、重力に対して水平な電場を付与する事で高速に規則配列構造を得ることができる事実を見いだすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、初年度、二次元集積体作製のための重畳電場付与技術の確立と大型集積構造体の作製を計画していたが、全て計画通り進行し、次年度以降の計画として示していた三次元集積構造の作製まで前倒しにて実施中であることから十分な達成度であると判断している。特に、二次元配列機構においては、大小の二種類の粒径が混在する系において、静電相互作用と液架橋力の重畳作用のバランスを制御することで極めて特徴的な幾何構造を有する集積構造を作製することができ、この成果は、(社)日本セラミックス協会 2013年 年会(第38回セラミックスに関する顕微鏡写真展)において、学術写真賞(優秀賞)を受賞することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
二次元、三次元集積過程に関して個別要素法を用いた数値計算を行い、電場で駆動された振動が用いる粒径に対して、どれくらい有効であることを定量的に示す。溶媒中での粒子の自然沈降中に、交流電場により誘起された動的な力学振動エネルギーを有する微粒子が堆積して行く過程で、十分な運動エネルギーが付与されていない場合、アーチ構造を取りながら堆積してしまうため欠陥の起点となり規則集積構造を作製することができなくなる。一方、十分な運動エネルギーを有している場合、幾何学的に最も安定な位置に粒子が堆積していくことから、規則成長をさせることができる。これに加えて、準安定構造を取る程度の過剰なエネルギーを粒子に付与する事で、最密充填以外の堆積構造を創製できると思われる。そこで後半は、サスペンジョン中の相互作用を考慮しながら、より厳密なシミュレーションを実行し、実際の実験における最適条件をある程度絞り込みながら、効率的な条件を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度までに、必要な装置等は全て準備でき、配列操作に用いるセルなども、最適化することで、それほど多くの研究費を備品として購入しなくても十分な成果をあげる事が可能であると判断している。今年度は、特に、消耗品を中心としてデータの蓄積を行い、積極的な外部発表を計画している。
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