2014 Fiscal Year Annual Research Report
グラフト重合による新しい機能性ナノファイバーコンポジットの作製
Project/Area Number |
24656395
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
堀田 篤 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (30407142)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノファイバ / 光グラフト重合 / 表面改質 / 医療用ポリマ / ステント / ステントグラフト / 生体適合性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,光グラフト重合法を用いたナノファイバの表面改質により,高機能性ナノファイバを作製することを目的とした.当該年度は,医療応用へ向けた生体適合性材料による表面改質をナノファイバに施し,医療器具であるステントグラフトへの応用を見据えた研究を実施した.ステントグラフトは,金属骨格となるステントにカバーを取り付けた血管留置型の医療器具であり,血管における動脈瘤の治療などに用いられる.ステントグラフトのカバー材料には,血液の凝固を防ぐ抗血栓性と,血管留置後における血管とステントグラフトの同化のための細胞接着性が求められる.ナノファイバは,その極めて高い比表面積により,高い細胞接着性を有する可能性が高いとされている.ここに抗血栓性を付与することができれば,ステントグラフトのカバー材料としても好適となる. ここでは,高い柔軟性とゴム弾性を有し,医療材料として用いられるポリウレタン(PU)をナノファイバ化した後,表面改質をし,その抗血栓性評価を実施した.表面改質では,高い抗血栓性を有する2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)および2-メトキシエチルアクリレート(MEA)をPUナノファイバの表面に光グラフト重合した.表面改質後のPUナノファイバは,レーザー顕微鏡によりファイバ径の増大が確認され,FT-IRを用いた化学構造解析により,MPCもしくはMEAが無事にPU表面にグラフトされたことが確認された.また,表面改質後のPUナノファイバに対し,抗血栓性評価として血小板付着試験を実施したところ,表面改質前のものと比べて,ナノファイバへの血小板付着量の減少が認められ,抗血栓性が向上した. 以上より,細胞接着性を有するPUナノファイバに対して抗血栓性の付与ができたことにより,医療応用に適した高機能性ナノファイバとしての本ナノファイバの利用が今後期待される.
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Research Products
(5 results)