2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24656400
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平田 秋彦 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (90350488)
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Keywords | 金属ガラス / 原子構造 / 電子顕微鏡 / 電子回折 / ガラス転移 |
Research Abstract |
本研究の最終的な目標は、金属ガラスの過冷却液体状態とガラス状態における局所構造の違いを、オングストロームビーム電子回折法を用いることにより明らかにすることである。具体的には、過冷却液体領域の広い金属ガラス試料を用い、電子顕微鏡内で加熱を行い、過冷却状態における電子回折実験を試みる。昨年度は、最適な金属ガラス合金系の選定と、電子顕微鏡内での結晶化温度についての検討を行った。そこで今年度は、過冷却液体域と思われる結晶化温度より少し低い温度での電子回折の取得を試みたが、ドリフトなど技術的な問題のため、良好なデータを得るのが困難であった。そこで、昨年度選定した金属ガラス系であるPd-Cu-Ni-Pのガラス状態(室温)での構造的特徴をまず調べることにした。ガラスの薄膜試料を作製し、薄い領域から多くのオングストロームビーム電子回折パターンを取得した後、解析を行った。得られたパターンには離散的な強い回折スポットが頻繁に観察され、短範囲秩序構造の存在が示唆される。このような離散的スポットの存在は少なくとも露光時間(0.1~0.2秒)の間は静的な構造が保たれていることを示している。もし露光時間のスケールで散漫なパターンになれば、構造は動的なものとみなすことができるであろう。今後は、より高温の過冷却液体状態においてどのようなパターンが得られるか、また領域によってその特徴が変化するかどうかを調べ、これまでに提案されている動的不均一性の直接的な検証を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過冷却液体領域でのデータ取得においては技術的な困難が依然としてあるが、予備的な加熱実験や室温での構造解析などの準備は進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は過冷却液体でのデータ取得を目指して、高温でのドリフト等の技術的な問題をクリアしていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
端数が516円であり、これで購入可能な必要物品がみつからなかったため。 次年度の予算と合わせて必要物品を購入する予定である。
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