2012 Fiscal Year Research-status Report
大型構造物の劣化損傷度評価のためのワイヤレスセンサネットワーク
Project/Area Number |
24656403
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榎 学 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70201960)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | インテリジェント材料 / 安心・安全材料 / 構造ヘルスモニタリング |
Research Abstract |
本年度はまず、ワイヤレス疲労損傷スマートパッチのうち、き裂進展計測システムの設計を行った。この計測部は本システムにおいて重要な技術である。このスマートパッチの目的は繰返し回数、応力振幅、最大応力を推定すること、そしてそれら推定した値と対象物の応力振幅と破断繰返し回数の関係から対象物の疲労損傷度を見積もることである。メリットとして配線が必要ないこと、定期検査のときに短時間でパッチを回収できること、そして単体で疲労損傷度を見積もるのに必要な繰返し回数、応力振幅が得られ、さらに最大応力を推定することができることが挙げられる。そこで、損傷記憶の理論的考察を行った。一般に疲労負荷を受けるときのき裂進展挙動は応力拡大係数範囲とき裂進展速度の関係で表すことができ、特に第二段階の関係はパリスの式で与えられる。このパリスの式を積分することによって、一定応力振幅の繰返し回数とき裂長さの関数を得た。この関係を利用して繰返し回数を推定する手法についてその精度について検討した。 次に、き裂進展計測システムの開発を行った。疲労損傷記憶センサ形状の最適設計のために、センサの寸法、導入き裂長さについて、有限要素法コードを利用して設計を行った。また、またき裂進展長さが測定しやすい、最適な合金系および寸法の選択を行った。また、スマートパッチのセンサとして用いるために薄い純銅試験片のき裂進展挙動を調べた。き裂進展挙動の厚さ、最大応力、応力比による違いがあることがわかった。これらき裂進展特性を用いてき裂長さと繰返し回数の関係を得ることができた。一方、き裂進展挙動のばらつきは避けられない問題であるので、き裂進展挙動のばらつきを統計的に解析することでばらつきを評価した。さらにばらつきに影響を及ぼす要因について調べることでばらつきの小さいセンサを作製する指針について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定である疲労の際の応力振幅および繰り返し回数を測定する原理について十分考察をすることができた。また、計測の際に生ずる誤差の原因を特定することができ、それによりセンサ材料の選定へフィードバックすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
疲労損傷スマートパッチに関してはセンサの特性の確認できたので、腐食をモニタリングするためのACMセンサについて検討を行う。さらに、計測の無線化を可能にするワイヤレスセンサネットワークの構築を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として、RFID計測開発システム・スタータキット、試験片加工費等として100万円使用する。また、フィールドでの計測および学会発表の旅費として、30万円使用する。さらに、実験補助として30万円の謝金を使用する予定である。
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