2013 Fiscal Year Annual Research Report
新しいタイプのジルコニウム基マルテンサイト変態による形状記憶と超弾性の可能性
Project/Area Number |
24656417
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松田 光弘 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (80332865)
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Keywords | 形状記憶・超弾性 / マルテンサイト変態 / 電子顕微鏡 / 構造・機能材料 / ジルコニウム / 長周期積層規則構造 |
Research Abstract |
本研究は新しいタイプのジルコニウム基マルテンサイト変態を利用して形状記憶と超弾性を見出すことが目的である。なかでもH25年度はNi元素の代替材として、Pdを用いたNiフリー形状記憶・超弾性合金について検討するとともに、それら特性を担うマルテンサイト相の微細構造解析を実施した。 1. Zr-Co-Ni-Ti合金の形状記憶・超弾性特性 H24年度の研究成果を基にさらなる超弾性特性の向上を図るため、Zrに対してTiを置換したZr47.5Co37Ni13Ti2.5合金を作製し、それら簡易曲げ試験を行った。その結果、室温にて49%の超弾性特性と11%の形状記憶特性を示すなど計60%もの形状回復率が得られることがわかった。 2. Zr-Co-Pd合金の超弾性特性とマルテンサイト相における微細構造解析 室温にて全伸び20%以上の高延性を有するZr50Co40Pd10合金をサイクル引張試験に供した。ひずみ1%毎に応力負荷と除荷を繰り返した結果、3回目以降では超弾性特性が発現し、それぞれ全伸び約5%および10%の応力負荷をかけたところ、各々0.3%および0.8%程度の超弾性回復が得られた。しかしながら本合金の逆変態開始温度が室温近傍であったことから、形状回復率のさらなる向上にはPd量を減少させて逆変態開始温度の低下を図るとともに熱ヒステリシスの減少も考慮する必要がある。 Zr50Co38Pd12合金においてCTEMおよびHAADF観察により、それら長周期マルテンサイト相の微細構造解析を行った結果、6層周期の斜方晶構造を呈することが分かった。これら格子定数はそれぞれ、a = 0.34 nm, b = 0.45 nm, c = 1.53 nmであり、電子回折における消滅則および格子の対称性の観点から、空間群はImmmと決定することができた。
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