2012 Fiscal Year Research-status Report
巨大擬似単結晶超弾性合金の作製と結晶粒成長機構の解明
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24656426
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 清仁 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (20151368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大沼 郁雄 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20250714)
大森 俊洋 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60451530)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 正常粒成長 / 異常粒成長 / Cu基形状記憶合金 / ピン止め効果 / 超弾性特性 / 相対粒径 / 熱処理 / 制震材料 |
Research Abstract |
Cu-Al-Mn超弾性合金の粒成長について実験並びに解析を行い、次の結果を得た。 1.Cu-Al-Mn形状記憶合金の、750℃~900℃における正常粒成長速度を実験的に決定した。正常粒成長では、いずれの温度でも120時間の保持時間でもおよそ1mm程度の平均粒直径で停止することがわかった。各温度において、3次元的な粒成長が支配的であると考えられる熱処理時間においては、粒成長指数はおよそ6~18であり、種々の合金系に比べて比較的大きい値であった。 2.シート状のサンプルにおける粒成長において、板厚が薄い試料の粒成長は2次元的成長を呈するが、ブロック状サンプルの3次元成長に比較して遅い成長速度を示す。これは粒界に生ずるグルービングがピン止め効果を示すためと考えられる。 3.正常粒成長速度に及ぼす試料表面凸凹の影響を調べた。表面を研磨した後に粒成長熱処理を行った試料では、研磨を行わなかった場合に比べ明らかに大きく成長する事がわかった。 4.600℃時効によるα相の析出と900℃での溶体化の組み合わせ熱処理によって、最大で直径3mm程度の粗大結晶粒組織が得られた。 5.板状試験片の超弾性特性を示す降伏応力、加工硬化速度、最大の超弾性歪みは相対粒径d/t(d:結晶粒径、t:板厚)に依存し、0<d/t<1、1<d/t<2、d/t>2の3つの領域に分類できる事がわかった。良好な超弾性特性は粒径が大きいd/t>2の時に得られる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Cu-Al-Mn基超弾性合金の結晶粒成長について、当初の研究計画通りに基礎的知見が得られた。また、超弾性特性と粒径との関係について、定量的な評価が可能となり、相対粒径(d/t)を2以上にする事によって良好な超弾性歪みが得られる事がわかった。 また、二次元成長は三次元成長に比べて成長速度が遅くなる事が判明したが、グルービングの影響が大であると推察されたのが新しい知見である。
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Strategy for Future Research Activity |
巨大結晶粒を有する擬似単結晶をいかに簡単な熱処理で得られるかを中心課題として研究する。これまでの実験結果より、高温での長時間熱処理では結晶粒成長速度は小さく巨大粒が得られないので、第2相α(fcc)相の析出、消失を利用した異常粒成長を利用する熱処理方案の確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画通りに実験を遂行するための試験片や加工費、さらに成果発表のための国内、外国旅費が主な使用内容である。
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Research Products
(4 results)