2014 Fiscal Year Annual Research Report
海水、ホウ酸入り原子炉圧力容器腐食の模擬実験と腐食評価の試算
Project/Area Number |
24656433
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
金児 紘征 秋田大学, その他部局等, 名誉教授 (20006688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 倫久 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20343064)
中川 時子 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40180252) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 原子力発電 / 圧力容器 / ガルバニック腐食 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京電力福島原子力発電所における原発事故で圧力容器が激しく損傷したと予想される。その際、冷却水として注入された海水、再臨界防止のために注入されたホウ酸が圧力容器の腐食にどのような影響を与えるかについて、緊急の研究計画を立てて研究を行った。24年度は予想される圧力容器の激しい腐食を調べるために、どのような加速実験が模擬実験として適切か、その実験条件を検討した。その結果、加速実験条件として、150℃において、飽和NaCl-濃厚H3BO3の組成の水溶液中で、圧力容器材料のSA533B、また内張りのインコネル、さらにSA533B/インコネルガルバニ対の腐食挙動を4時間、調べることにした。飽和NaCl水溶液ではほとんど腐食せず、濃厚H3BO3水溶液ではかなりの腐食となり、飽和NaCl-濃厚H3BO3水溶液では激しい腐食となった。さらに、SA533B/インコネルガルバニ対になると、腐食が加速した。25年度は、これらの腐食に及ぼすpHの影響を評価するためにはより広い組成域で調べる必要があるという観点から、NaCl-H3BO3-NaB4O7(ほう砂)水溶液中での実験を行った。その結果、五ホウ酸ナトリウムの場合はホウ酸の場合より若干腐食は低下するが、腐食形態はホウ酸の場合と類似していた。それに対し、四ホウ酸ナトリウムの場合は著しく腐食は低下し、SA533B/インコネルガルバニ対界面での加速的腐食も検知できなかった。 本研究期間は申請時には2年であったが、1年繰り越した。26年度はこれまで得られた実験済み試料の金属学的観察、分析を行い、比較検討した。その結果、全体的な形態変化に関する知見を得るとともに、腐食生成物中に線状にほとんど純ニッケルの金属層が現れる特異な現象を観察した。このように、圧力容器がさらされた環境を模擬して加速腐食試験を行った結果、激しい腐食が起きるとともに特異な腐食形態になることを明らかにした。
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