2012 Fiscal Year Research-status Report
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24656439
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
戸田 裕之 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70293751)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 非破壊検査 / 3Dイメージング / X線CT / 高分解能化 |
Research Abstract |
一昨年7月の大型放射光施設SPring-8を用いたX線マイクロトモグラフィー実験で、偶然、サンプリング定理で規定される物理限界を上回る空間高分解能を達成した。この理由は、X線マイクロトモグラフィーに不可欠な試料回転ステージに関し、通常は空間分解能を悪化させるその回転ブレ(Wobbling)が予想外の高空間分解能化をもたらすためと結論した。通常、X線マイクロトモグラフィーの高空間分解能化には数~数十m長の大規模セットアップと高度な技術・ノウハウが必要である。申請者は、上記現象を積極活用すれば、簡便で撮影条件の制約がない実用的な高空間分解能化法が実現できると発想した。これにより、高空間分解能化するほど試料が微小になるというX線マイクロトモグラフィーの内生的な欠点をも緩和できる。また、医療診断からTEM(透過型電子顕微鏡)-CT等の科学ツールに至る、幅広い3Dイメージング技法に応用できる。 本年度は、大型放射光施設SPring-8のイメージングビームラインBL20-XUを用い、単色X線を用いたX線マイクロトモグラフィー観察を行った。理論空間分解能が得られるよう、各種条件を最適化した。予備実験を行った後、様々な条件で3D画像を取得した。得られた3D画像の空間分解能を計測し、各種計測条件と空間分解能の関係を評価した。これらを総合し、まず高空間分解能が得られる最適な装置条件を定量的に評価した。実験では、鉄鋼材料とアルミニウム合金という二大構造用材料を用い、それぞれの3Dイメージングに必要な高エネルギー、低エネルギーのイメージングで空間分解能を評価した。結果として、材料試験機を用いたその場観察であっても高空間分解能が得られることがわかり、高空間分解能が得られる物理的な条件、メカニズムが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題申請を行って大型放射光施設SPring-8の実験課題を申請し、それが採択されて、この研究に最適な高分解能イメージングビームラインBL20-XUを用いた単色X線マイクロトモグラフィー観察を実行した。様々な条件、試料、X線エネルギーなどを振った実験を実施し、実際に企図した様々な条件で3D画像を取得できた。また、得られた3D画像の空間分解能の計測、各種計測条件と空間分解能の関係の解析も問題なく終了した。これらを用いた空間分解能の解析も予定通りに終了し、所定の研究成果が得られた。鉄鋼材料を用いた3Dイメージングの空間分解能評価に関しては研究成果が一定のレベルに達し、平成25年5月の国内学会で講演により成果報告すると共に、投稿論文としての成果報告も計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
・SPring-8におけるX線マイクロトモグラフィー実験:前年度の結果に基づき、各種装置・撮像条件を最適化しながら3D画像を取得する(H25年7月にSpring-8でのイメージング実験課題採択。実験予定) ・3D画像再構成、エッジレスポンス法でのMTF計測と3D分解能スケールによる空間分解能計測を行う。これらを総合し、空間分解能と実験条件の関係を総合的に評価する(上記実験後~H25年9月) ・これまでの結果と上記実験結果を総合し、空間分解能が向上できる装置などの条件を整理・検討する。同時に、どの様な、そしてどの程度の装置条件の時にどの程度分解能が向上するかまとめ、X線マイクロトモグラフィーにおける高分解能化技術として確立する(H25年10月~年度末) ・高分解能化したセットアップを用いた実用材料の各種時間発展挙動の観察を行う。材料としては、球状黒鉛鋳鉄を予定し、その中の疲労亀裂の発生と伝播挙動を観察・解析する予定でありる。 ・高空間分解能化に関する研究成果をまとめると共に、上記の鋳鉄を用いたデモンストレーション研究の結果を合わせ、材料系の学会誌に投稿論文の形で発表する。これにより、研究成果が実際に各種材料研究で活用されるように誘導する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験実施用消耗品、研究成果報告用国内出張旅費、論文別刷りなどの形で使用する。
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