2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24656440
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柴田 曉伸 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60451994)
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Keywords | 金属材料 / マルテンサイト / ナノ組織 / 電子顕微鏡法 |
Research Abstract |
本研究では合金電析とその後の種々の温度における焼鈍により, 34μm~290nmの粒径を有するFe-22Ni合金オーステナイト単相組織を作製し,ナノメートルオーダーの粒径を有するオーステナイトから生成したマルテンサイトの組織特徴・結晶学的特徴を調べ,以下の知見を得た. 粒径34μmの粗大粒オーステナイトから, 室温以上の温度でラスマルテンサイトが生成した. 一方, 粒径4.0μm~290nmの超微細粒オーステナイトおよびナノオーステナイトは, 室温でも安定であった. このことから, オーステナイト粒径の微細化によってMs点が大きく低下することがわかった. 粒径290nmのナノオーステナイトから液体窒素温度によるサブゼロ処理によって生成したマルテンサイトは, 内部に変態双晶を含んだ板状の形態を呈しており, 粗大粒オーステナイトから生成したラスマルテンサイトとは形態が大きく異なっていた. また結晶方位解析の結果, 1 つのナノオーステナイト粒から複数のマルテンサイトバリアントが生成していることがわかった. 粒径4.0μmの粗大オーステナイトからは, 変態によって導入される形状ひずみをお互いに緩和するマルテンサイトバリアントが集団で生成しており, またマルテンサイトの晶癖面が {3 10 15}面にほぼ沿った形で生成していたが, 粒径1.6μmの超微細粒オーステナイトおよび粒径290nmのナノオーステナイトからのマルテンサイト変態では, 形状ひずみを緩和するようなバリアント選択則は観察されず, また晶癖面は {3 10 15}面トレースとは一致していなかった. 以上より, オーステナイトの結晶粒径をナノメートルオーダーへ微細化することによって, そこから生じるマルテンサイトの形態やバリアント選択則, および晶癖面が大きく変化することがわかった.
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Research Products
(23 results)