2013 Fiscal Year Research-status Report
自己表面改質による粒子表面へのナノポーラス層の形成と新材料創製への展開
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24656441
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内藤 牧男 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (40346135)
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Keywords | 表面改質 / 省エネルギー / 多孔質粒子 / ナノ多孔体材料 / 超低熱伝導材料 |
Research Abstract |
粒子同士に互いの表面を削らせてナノ粒子を発生させ、それらを削られた粒子表面にデンドライト(樹枝)状に再結合できれば、同じ材質のナノポーラス層による自己表面改質が実現する。得られた粒子表面の微細構造や、粒子集積によって粒子間に形成されるナノポーラス層の連結構造を活用して、安価で多様な新材料の開発が期待できる。本研究では、結晶性や粒子径の異なるシリカ粒子をモデル材料として、自己表面改質によるナノポーラス層形成の可能性を探索する。さらに、粒子集積構造の応用事例として、超低熱伝導材料開発の可能性を検討する。 平成25年度は、前年度に試作された粒子間に圧縮・摩擦作用を効果的に作用させることが可能な粉砕・改質装置を用いて、粉砕された微粒子がシリカ粒子表面に再接合するためのプロセス条件の検討を行った。まず微粒子として、フュームドシリカナノ粒子をモデル粒子として選定し、フュームドシリカナノ粒子がガラスビーズやガラス繊維粒子表面に多孔質状に接合するためのプロセス条件の検討を行った。その結果、フュームドシリカナノ粒子がガラス繊維粒子表面等に接合するプロセスは、ナノ粒子の付着過程と付着されたナノ粒子の圧密過程の二つで整理できることを明らかにした。また、ナノ粒子層の圧密過程においては、処理時間とともに、形成されたナノポーラス層中の気孔率が減少する傾向にあることを明らかにした。この接合プロセスを基礎として、ナノ粒子をシリカ粒子表面に多孔質状に接合することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、前年度に試作された粒子間に圧縮・摩擦作用を効果的に作用させることが可能な粉砕・改質装置を用いて、シリカナノ粒子がシリカ粒子表面に多孔質状に接合するためのプロセス条件の検討を行った。その結果、モデル実験を基礎として、最終的に、微粒子をガラス繊維等のシリカ粒子表面に多孔質状に接合することに成功した。以上の進捗状況により、おおむね順調に進展しているものと自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果により、シリカ粒子表面から微粒子を生成するための処理条件と、微粒子をシリカ粒子表面に多孔質状に接合するための処理条件が、モデル実験を通じて明らかになった。そこで、今後は、これらの成果を基礎として、シリカ粒子表面同士の粉砕によりシリカ微粒子を生成するとともに、これを元のシリカ粒子表面に多孔質状に接合するためのワンポットプロセスの開発を進める。さらに、このプロセスによって作製されたナノポーラス層で改質されたガラス粒子の集合体を集積することにより多孔質材料を創製し、超低熱伝導率材料などの可能性を見出す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、モデル粒子となるフュームドシリカナノ粒子とガラス繊維粒子などを用いた粒子複合化実験を通じて、各種処理条件が粒子表面へのナノ粒子層形成過程に及ぼす影響を明らかにすることができた。そして、この結果を基礎として、シリカ粒子表面へのナノポーラス層形成を試みたところ、効率的な実験により目的を達成することができた。したがって、当初予算よりも少ない経費の使用となった。 平成25年度は、前年度に試作された装置を有効活用するとともに、モデルシリカ粒子を用いた基礎実験成果を基に、効率的な実験により当初目標を達成できた。そこで最終年度には、最終目標である自己表面改質技術の開発とそれを用いた応用研究の遂行に向けて、前年度の未使用予算を含む全予算を有効活用していく計画である。
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