2014 Fiscal Year Annual Research Report
硫化物太陽電池薄膜の低コスト・低温堆積に向けたホットウォールスパッタリング法
Project/Area Number |
24656450
|
Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
草野 英二 金沢工業大学, バイオ・化学部, 教授 (00278095)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | スパタリング / CZTS / 熱反射壁 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホットウォール(高温の粒子反射壁)をターゲット-基板間に設置し,高い蒸気圧を持つZn あるいはS原子の基板への再入射を促進し,薄膜組成,構造,および物性を制御することを試み,研究成果として以下を得た. ホットウォールの使用により,ホットウォールを使用しない場合に比べて,特に基板温度を高くした場合にみられていたZn比の減少,およびそれにともなうS比の増加を抑えられることが明らかとなった.X線回折測定により,結晶子サイズを,ホットウォールを使用しない場合の数-10 nmに比べてホットウォール温度を400 Cとした場合に16-24 nmへと向上できることを示した.論文等で報告されているCZTS薄膜と比較して,十分に良い結晶性を示していると判断する.上記条件において堆積されたCZTS薄膜は,1.6-1.7 eVのバンドギャップを示し,ホットウォールの使用による改善が達成された.平成26年度においては,さらに物性を改善するためにS雰囲気下における後焼成をおこなった.S比が大きくなるとともに,結晶性が改善され,1.6 eV程度までバンドギャップが狭くなった. フッ化物あるいはZnS薄膜の堆積プロセスの解析より,高いエネルギーを持つS負イオンが基板に入射し,薄膜にダメージを与えて結晶性を低くすると同時にバンドギャップ等の物性にも影響を与えていることが示され,負イオン入射を抑制するために負イオン阻止機構を用い,薄膜物性の改善を試た.負イオン阻止により薄膜堆積速度が高くなることを見いだしたが,物性への影響を検討するには至らなかった.さらなる系統的な検討によりCZTSの薄膜物性を改善できると考える. 総括として,ホットウォールによる薄膜組成および構造への影響,電気的・光学的物性の改善結果,ホットウォールの粒子反射壁としての役割についての考察を論文としてまとめた.
|
Research Products
(3 results)