2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規多孔質酸化鉄粒子を用いる吸着・脱着によるヒ素回収プロセス
Project/Area Number |
24656452
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 茂 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40143028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 弘造 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10311549)
藤枝 俊 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60551893)
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Keywords | 金属生産工学 / 廃棄物処理 / 非鉄金属製錬 / 水処理 |
Research Abstract |
scoroditeと呼ばれる砒酸鉄の粗大粒子をpHの高いアルカリ溶液に浸漬することにより、外形を保持した状態で極めて大きな比表面積を有した多孔質粒子が得られる。また、この粒子において鉄はmaghemiteと類似した局所構造を有しており、水溶液中において良好な砒素吸着特性を示す。本年度は、上記のようにして作製した多孔質酸化鉄粒子に吸着した砒素の脱着効率の向上に取り組んだ。その結果、砒素が吸着した多孔質酸化鉄粒子を比較的電位の低い水溶液に浸漬すると、比較的電位の高い水溶液に浸漬するよりも効率良く砒素が脱着することを示唆する結果を得た。薬品等を用いずに多孔質酸化鉄粒子から砒素を脱着出来る可能性を見出した。 本多孔質粒子は、砒素だけでなく、様々なアニオンの吸着材への応用が期待できる。そのためには、安全性の観点から砒素を含まない出発原料から多孔質粒子を作製することが望まれる。そこで、本研究では、strengiteと呼ばれるリン酸鉄の粗大粒子の合成およびそれを用いた多孔質粒子の作製にも取り組んだ。その結果、2価の鉄とリン酸を含む水溶液に、アルカリ溶液でpHを調整した後、昇温して酸素ガスを吹き込むことにより、strengiteの粗大粒子を合成することに成功した。また、この粒子をpHの高いアルカリ溶液に浸漬することにより、外形を保持した状態で大比表面積を有した多孔質粒子が得られることを確認した。また、この粒子において鉄はmaghemiteと類似した構造を有していた。すなわち、砒素を含まない出発原料で、吸着材に有望な粗大な多孔質酸化鉄粒子を得ることに成功した。
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