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2012 Fiscal Year Research-status Report

無機鎖状酸化物を前駆体とするサブナノポーラス水素分離膜の開発

Research Project

Project/Area Number 24656462
Research InstitutionUtsunomiya University

Principal Investigator

松本 太輝  宇都宮大学, 地域共生研究開発センター, 准教授 (00419417)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 佐藤 高彰  信州大学, 繊維学部, 准教授 (20373029)
伊藤 直次  宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90356478)
Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords水素選択透過 / ジルコニア / 多孔膜 / ゾル-ゲル法 / 鎖状成長
Research Abstract

I.酸化物合成系においてサブナノ孔を選択的に形成する触媒の探索:ジルコニウムテトラ-n-ブトキシドに触媒を加えた1-ブタノール溶液から前駆体ゾルを得た。得られた前駆体ゾルをアルミナ支持体にディップコーティングし、必要に応じて乾燥、焼成、および温水中での処理(以後、「後加水分解」と呼ぶ)を行うことによって膜形態の試料を得た。ヒドロキシアセトンを触媒として前駆体溶液を合成すると、反応後溶液が着色し、ゲル化により溶液が固化した。ヒドロキシアセトンがジルコニウムに配位して触媒能が失われたものと考えられる。一方で、1-ペンテン-3-オールを触媒とした場合では、透明な粘性ゾルが得られ、鎖状ジルコニア前駆体が合成できたと考えられる。
II.細孔径制御手法の確立:後加水分解を行わずに得られた試料は、細孔をほとんど持たなかったのに対し、60℃以上で後加水分解を行なって得られた試料はミクロ孔とメソ孔の双方を有しており、80℃で後加水分解して得られた試料ではそれらの細孔容積がより増大した。後加水分解温度が高くなるほど加水分解反応が促進され、未反応アルコキシ基が除去されることによって、より多くの細孔が形成するものと考えられる。加水分解抑制剤としてジエチレングリコールを加えて試料を調製したところ、ミクロ孔容積を維持したままメソ孔の細孔容積が減少した。後加水分解過程で生じる急速な加水分解に起因した膜の破壊(クラック生成等)が抑制され、メソ孔容積が減少したものと考えられる。
III.酸化物多孔膜の合成と水素分離能および耐久性の評価:後加水分解して得られた膜試料のパーミアンスを測定したところ、後加水分解の有無に関わらず、パーミアンスは透過気体の分子量の逆数平方根に比例していた。この結果は、得られた膜の気体透過特性がKnudsen流であり、気体選択性がほとんど得られていないことが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

「I.酸化物合成系においてサブナノ孔を選択的に形成する触媒の探索」に関しては、1-ペンテン-3-オールという新たな触媒を開拓し、ジルコニアを鎖状に成長させることによってサブナノ孔を形成できた。
「II.細孔径制御手法の確立」に関しては、ミクロ孔容積を増大させる「後加水分解処理」と、ミクロ孔容積を維持したままメソ孔の細孔容積を減少させる「ジエチレングリコール添加」という二つの制御手法を見いだした。しかしながら細孔径の精密な制御には未だ至っていない。
「III.酸化物多孔膜の合成と水素分離能および耐久性の評価」の結果、水素の選択制は未だ充分ではない。
以上を総括すると、新しいサブナノ孔形成触媒を見いだし、サブナノ孔を有するジルコニア膜の合成には成功したが、細孔径制御や膜の破壊(クラック生成等)によるメソ孔形成の抑制が充分でないため、十分な水素選択透過性が得られていない。

Strategy for Future Research Activity

現段階では、水素のみが透過できるミクロ孔の形成には成功しているものの、膜の破壊(クラック生成等)が生じており、メソ孔以上の大きな欠陥からのリークが生じることによって十分な水素選択透過性が発現しないものと推察される。今後はクラック等を防ぐ膜のプロセッシングに関して検討を進める予定である。
また現状、細孔径の制御は必ずしも充分であるとは言えず、水素選択性向上のためには、新たな細孔径制御手法を開拓する計画である。
上記の方策を同時かつ横断的に遂行し、水素分離能と耐久性が向上するよう反応条件および膜化プロセスの最適化を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

水素分離能評価に関する実験に使用する消耗品等の購入

URL: 

Published: 2014-07-24  

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