2013 Fiscal Year Annual Research Report
無機鎖状酸化物を前駆体とするサブナノポーラス水素分離膜の開発
Project/Area Number |
24656462
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
松本 太輝 宇都宮大学, 地域共生研究開発センター, 准教授 (00419417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 高彰 信州大学, 繊維学部, 准教授 (20373029)
伊藤 直次 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90356478)
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Keywords | 水素選択透過 / ジルコニア / 多孔膜 / ゾル-ゲル法 / 鎖状成長 |
Research Abstract |
加水分解抑制剤としてDEGを添加した低次元成長ジルコニアゾルを前駆体とし、80℃の水蒸気中で加水分解することで得られた粉末試料の窒素吸着を測定して得られたミクロ孔分布は、温水中で加水分解を行った試料よりもミクロ孔容積が大きく、12時間処理した試料よりも24時間処理した試料のミクロ孔容積の方がさらに大きくなった。 積層構造支持体に低次元成長ジルコニアゾルをディップコートし、80 ℃で水蒸気処理を行ったところ、窒素、水素のパーミアンスは水蒸気処理時間が長いほど増大した。加水分解の進行に伴い、ジルコニア膜が無孔質からミクロ多孔質へと変化したと考えられる。12時間水蒸気処理した試料の水素/窒素分離係数は5.6に達した。Knudsen拡散による水素/窒素分離係数の理論値である3.8を上回っていたことから、分子ふるい効果による水素の選択透過が生じていると言える。一方、24時間水蒸気処理した試料はミクロ孔を有しているにもかかわらず、水素/窒素分離係数は3.9に減少した。 水蒸気処理を12時間、24時間行った試料の表面をSEMで観察すると、12時間処理した試料は剥離や大きなクラックのない均一な表面となっていたのに対し、24時間処理した試料には多数のクラックが生じていた。過剰の水蒸気処理は膜のクラック生成を誘発し、このクラックからの気体のリークが生じるために水素選択透過性が低下したものと考えられる。
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