2012 Fiscal Year Research-status Report
エマルションゲル化法を用いた新規な固定化酵素多孔質ゲルの開発と応用
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24656465
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
徳山 英昭 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10363029)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 反応・分離工学 / 化学工学 / 高分子合成 / 固定化酵素 / ゲル / エマルション |
Research Abstract |
本研究では、高性能酵素反応プロセスの構築に資する新規な固定化酵素多孔質ゲルの開発を目的とする。具体的には、我々が開発したエマルションゲル化法により作製される独立した孔(例えば数マイクロメートルの孔径)を持つ多孔質高分子ゲルを担体に用い、孔の中に酵素を包括固定した固定化酵素多孔質ゲルを開発する。このゲルは、酵素の自由な立体配置および良好な基質の拡散透過性により、従来の固定化酵素ゲルを凌駕する高活性の発現が期待できる。平成24年度は、固定化酵素多孔質ゲルの作製に成功し、作製可能な条件を見出した。具体的には、ポリオキシエチレン系モノマーを含む水相に不活性な微小油滴(ここに酵素を含ませておく)を分散させたO/Wエマルションの水相をラジカル重合反応でゲル化させる方法によりエマルションゲル(分散した微小油滴を内包した高分子ゲル)を作製し、次いでエマルションゲルの油相を洗浄除去して固定化酵素多孔質ゲルを得た。モデル酵素反応として油脂分解酵素であるリパーゼを用いたエステル化合物(ここでは油脂のトリアセチン)の加水分解反応を行った。固定化酵素多孔質ゲル、従来の固定化酵素ゲル、およびフリー酵素を用いて加水分解反応を行った結果、固定化酵素多孔質ゲルの優位性、すなわち良好な反応速度を有することを実証した。また、固定化酵素多孔質ゲルを繰り返し使用しても反応速度の明確な低下が見られなかったことから、酵素の漏出または失活が生じていないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究の目的は、①固定化酵素多孔質ゲルの作製方法の確立と、②酵素反応(加水分解)実験によるゲルの性能評価だったが、それぞれ当初の計画通り達成した。一連の研究を通して、提案する固定化酵素多孔質ゲルの優位性を明らかとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、当初の計画通り、固定化酵素多孔質ゲルの機能化とエステル化反応への適用可能性について検討する。H24年度に検討した加水分解反応は水媒体中で反応を行うのに対して、エステル化反応は油性媒体中で反応を行う。したがって油性媒体に適用可能なゲルをその機能化と合わせて開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
高分子ゲルの熱的性質を評価できる示差走査熱量計の制御装置を購入する(本体は既設)。ゲルの合成および酵素反応実験で必要な消耗品として、試薬・ガス類、ガラス器具類、アクリル・金属器具類、理化学機器・用品、を計上する。海外旅費として、成果発表のための学会参加旅費を計上する(International Soft Matter Conference 2013、イタリア)。平成24年度の既受領額と支出累計額の差引額は、英語論文校閲費用に充てる予定だったが、平成24年度内に論文をまとめるに至らなかったので、平成25年度に英語論文校閲費用として使用する。
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Research Products
(2 results)