2012 Fiscal Year Research-status Report
カーボンナノチューブの気相コーティングプロセスの開発
Project/Area Number |
24656471
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島田 学 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70178953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 優 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00633752)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノ材料 / 複合材料・物性 / 被覆 / プラズマ反応 / エアロゾル |
Research Abstract |
本研究では、カーボンナノチューブ(CNT)の気相分散と浮遊状態CNTへのプラズマ反応による被覆を利用した、CNTの表面コーティングの新規気相プロセスを開発し、適切な装置、操作条件や、有用性等を示すことを目的とした研究を行った。本年度の研究成果の概要は、以下のとおりである。 1.既設のマイクロ波プラズマ反応器に対して、噴霧液滴導入のための合流部を設計製作して取り付けた。また、この合流部、および噴霧液と加圧ガスを供給するためのラインに接続できる、2流体ノズルの筐体を製作した。これに、圧力・流量の計測・制御系を加えて噴霧系を構築した。 2.合流部に噴霧系を接続したうえで、2流体ノズルに対して、多層CNTを懸濁した水系分散液と加圧ガスを、それぞれ一定の流量で送り込める操作条件を見出した。 3.噴霧系の操作条件を変化させつつ、減圧としたプラズマ反応器内への水系分散液の液滴噴霧を行った。反応器の下流に設置した基板またはフィルタによって噴霧乾燥物の捕集を行い、電子顕微鏡による観察で、CNTの良好な気中分散が可能である操作条件を見出した。 4.反応性ガスとして有機金属の蒸気を用い、噴霧液滴と同時に反応器に供給することで、CNTのコーティングの予備的な実験を行った。その結果、CNT表面に固体堆積物が生じること、反応器の操作条件によって堆積物の量や形態が変わること、堆積物に反応性ガス由来の物質が含まれていることがわかり、本プロセスによってコーティングが可能であることが確認された。また、この実験の遂行過程で、操作条件や装置に対する検討課題も認識できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の進捗に関して、実施者が最も懸念していたことは、提案したプロセスの基本的原理の妥当性であった。具体的には、i) コーティング反応を行わせる場の中にCNTを十分に分散できるか、ならびに、ii) 浮遊したCNTに反応性ガスから生じた析出物が付着するのか、の2点である。これらについて、3年間の研究期間の初年度で一定の目処が立ったことから、進展は順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に、当初の研究計画に沿って遂行することとする。すなわち、コーティングの操作条件と生成物の性状との関係を調べる実験的検討と、コーティング過程に対する考察を進め、最終的に、本プロセスの特徴と、コーティングの制御に必要な条件を導き出したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品として、コーティング実験に用いるガス・試薬、CNT、ガスフィルタ、および装置の改良や改造に使用する各種材料と配管類を購入する。また、学会等における研究情報収集・成果発表のために旅費を、大学院生に依頼する実験・データ整理補助のために謝金を、それぞれ執行する。以上のほか、CNT、被覆物質の性状データを得るための機器使用料・委託測定料、および研究論文発表のための経費を予定している。
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Research Products
(5 results)