2013 Fiscal Year Research-status Report
カーボンナノチューブの気相コーティングプロセスの開発
Project/Area Number |
24656471
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島田 学 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70178953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 優 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00633752)
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Keywords | ナノ材料 / 複合材料・物性 / 被覆 / プラズマ反応 / エアロゾル |
Research Abstract |
本研究では、カーボンナノチューブ(CNT)の気相分散と浮遊状態CNTへのプラズマ反応による被覆を利用した、CNTの表面コーティングの新規気相プロセスを開発し、適切な装置、操作条件や、有用性等を示すことを目的とした研究を行った。本年度の研究成果の概要は、以下のとおりである。 1.前年度の予備的実験で得られた成果をふまえて、コーティング実験で検討すべき条件を吟味することで、気相中の気体原料濃度、プラズマ反応時間、プラズマ強度、操作圧力が、それぞれ重要な操作因子であることを認識した。これらを変化させたコーティング実験で得た生成物を、透過型および走査型電子顕微鏡で形態観察したところ、CNT表面が微粒子状のコーティング物で覆われたり、概ね滑らかな物質で覆われたりする条件が存在することがわかった。また、コーティング物の量とCNTから遊離して生成する粒子状物質の量の比率や、コーティング物の被覆性も条件によって変化することがわかった。さらに、CNTを反応装置内で保持する時間を変えた実験により、CNTが気相浮遊状態でコーティングされている証拠を得た。 2.上記の実験の生成物に対して、エネルギー分散型X線分析による組成分析を行い、コーティング物が、目標どおりチタンと酸素でできていることを確認した。X線回折および電子顕微鏡による制限視野電子回折からは、コーティング物がアモルファスのチタニアであることが示唆された。 3.最近他の研究者が報告した、基板上に固定したCNT表面に気相反応で被覆物を析出させる手法、および、浮遊状態のCNTと微粒子を気相凝集させる手法で、それぞれ生じる生成物と、上記実験で得られた生成物の形態を比較し、本研究の提案手法がとくに被覆均一性の点で優位性があることを認識した。また、コーティング物の形態の、手法間の違いを検討することにより、コーティング機構の考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画していた、被覆CNTが得られる条件を見出すことが達成された。ここで、条件により被覆形態が変わることがわかったことより、形態の制御の可能性も見いだせた。また、コーティング物の組成が想定どおりであること、他のコーティング手法よりも優れた点を有することが確認されたことも、進展が順調であることの理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に、当初の研究計画に沿って遂行することとする。すなわち、コーティングの操作条件と生成物の性状との関係を調べる実験的検討と、コーティング過程に対する考察を進め、最終的に、本プロセスの特徴と、コーティングの制御に必要な条件を導き出したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入物品等の軽微な変更、および予定金額と実売価格との差額等により、所要額から3 %程度の違いが生じたものである。 主にコーティング実験用の消耗品購入に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)