2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24656479
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中川 紳好 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70217678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻口 拓也 金沢大学, 機械工学系, 助教 (10510894)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオ燃料電池 |
Research Abstract |
酵母エキスの水溶液系での電子伝達系がいかなる機構であるかを解明する目的で、申請者らのバイオ燃料電池試験セルの燃料槽に同水溶液および同水溶液にグルコースを添加した溶液を入れ、カーボンクロスを電極として浸し、実験系を構築した。グルコースを含まない酵母エキスの水溶液系で、燃料極電位が酵母エキス濃度に依存し、酵母エキス濃度が高くなるほど電極電位が卑になり、電池出力も増大することを明らかにした。このことは、電子伝達に関与する物質が既に酵母エキス溶液中に揃っていることを示していると考えられる。また、グルコースを添加した溶液系ではその電極電位は時間とともにより卑な方向に移動し、一定時間後に落ち着く傾向を示した。電位の時間変化が速かったことなどから、この変化の要因は微生物によるものではなく、酵母エキス中に存在するグルコースオキシターゼ等の酵素が働いていると考えられた。酵母エキス濃度、グルコース濃度を最適化した系では燃料電池起電力が1.0Vを越える、高い値を示した。実験後、電極表面をSEM観察したところ、電極表面にはバイオフィルムの形成は観察されなかった。これらのことから、高い起電力が得られる本系では、微生物がグルコース分解を引き起こしているのではなく、酵母エキス中に存在している酵素が関係していると考えられる。1.0Vの高電圧は、酵母エキス溶液がもたらした非常に卑な燃料極電位によることが分かった。外部メディエーターとしてメチレンブルーを添加することにより電池出力は2倍以上に増大したことから、酵母エキス中の酵素の電極表面部への固定化や外部メディエータの利用が出力増大に有効であることが分かった。さらに、カーボンペーパーに対し、酵母エキスが物理的な吸着で固定化され、数回の繰り返し利用が可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画としていた高電圧発生が微生物由来か、あるいは酵素由来かという点について、一応の結論を得るまでに至った。 さらに、酵母エキス溶液系での基礎特性が得られたことで、電池出力の増大に向けた課題を明らかにすることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
酵母エキスを用いるグルコース燃料電池では、高い電圧が得られることを実証したが、出力増大のためには電圧を落とさず、より高い電流を得ることが必要となる。現状での律速段階が電極への電子伝達にあると考えられることから、触媒としての機能を持つ酵母エキスを電極表面に固定化し、電極近傍により高濃度で保持することを考えたい。例えば酵母エキスを含有したゲル状層をカーボンペーパー上に形成するなどの方法を試みたいと考えている。また、集電体であるカーボンペーパーの比表面積を増大させる目的で、カーボン微粒子をカーボンペーパーと複合化させる、さらにはカーボン微粒子と酵母エキス含有ゲルのコンポジットとして利用するなどを試みたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
カーボンペーパー、空気極用のPt/C電極、固体高分子膜、電池部材、各種薬品などの消耗品と旅費、謝金として使用したい。
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