2012 Fiscal Year Research-status Report
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24656480
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
神原 信志 岐阜大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80362177)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 真空紫外線 / 無触媒脱硝 / 光反応 / 新規反応場 |
Research Abstract |
本研究では,真空紫外線をアンモニアに照射した時に生成する励起化学種が脱硝反応の低温化に大きく寄与する原理を利用して,常温無触媒脱硝法を開発することを目的とする。 今年度は,波長172 nmまたは190 nmの真空紫外線をNO/NH3/O2雰囲気ガスに直接照射し,脱硝特性および副生成物の特性を調べた。研究成果の概略は次のとおり。 (1)ガス流量が低いほど,すなわち反応器内のガス滞留時間が長いほど脱硝率は増加し,ガス流量1 L/minの時,波長172nm照射で脱硝率100%を得た。 (2)172nmと190nmを比較すると,172nmの方が脱硝率は高かった。これは光子エネルギー(フォトン)の違いから説明できる。 (3)副生成物としてN2O(亜酸化窒素)が生成した。これは窒素と励起酸素が反応した結果と予想された。172nmの方がより濃度の高いN2Oを生成した。N2O生成を抑制する反応法の開発が今後の重要な課題となる。 (4)脱硝反応は,NOがN2に還元される反応ルートとNOとNH3が直接反応して硝酸アンモニウムを生成する反応の二つの反応パスがあることがわかった。この反応パスは,脱硝反応において新規であり,今後反応メカニズムを解明していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初目標は,(1)波長172 nmまたは190 nmの真空紫外線を模擬排ガスに照射した時の脱硝率に及ぼす反応パラメーターの影響を調べ,(2)低温無触媒脱硝特性とその反応速度を明らかにすることにより,その反応メカニズムを解明する,ことにある。 本年度は(1)の目標をほぼ達成したため,おおむね順調に進展していると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)光分解反応時に生成する化学種の解明 脱硝反応メカニズムを素反応レベルで解明するヒントを得るために,単純な系で各化学種に真空紫外線を照射した時に生成する安定化学種を測定する。例えば,NH3-N2系とNH3-Ar系の光分解反応の比較実験では,NH3の分解とその生成物に関する反応速度データが得られ,さらにN2の影響も明らかにできる。反応系として,(NO, NO2, SO2, NH3, O2)×(Ar, N2)のコンビネーションを設定し,反応メカニズム解明の基本データを取得する。 (2)脱硝メカニズムの解明 素反応シミュレーターを駆使し,本反応場での反応メカニズムを解明する。メカニズム検討には,汎用化学反応シミュレーターChemikin-Proを使用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)反応ガス・校正ガス 250千円 (2)配管部品 300千円 (3)シミュレーター 250千円 (4)学会発表など旅費ほか 300千円
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