2013 Fiscal Year Research-status Report
不均一反応のためのバッチ-マイクロ融合型反応システムの開発
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24656481
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
外輪 健一郎 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (00336009)
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Keywords | マイクロリアクタ / 液液反応 / スラグ流 / 物質移動速度 |
Research Abstract |
前年度において、本研究が提案する反応システムを用いることで相間移動ジアゾカップリング反応をより短時間に実施できることが示された。提案システムはタンク型反応器とマイクロリアクタを組み合わせた構造をしているが、液液反応の速度を向上できる理由はマイクロリアクタでの相間物質移動速度が大きい点にある。平成25年度はマイクロリアクタ内での液液間物質移動速度を評価するため、流れの数値シミュレーションを行った。マイクロリアクタ内で液液二相が交互にスラグとなって流れるとき、各スラグ内には循環流れが生じることが指摘されているが、その循環の数や位置、循環速度が、線速度によって大きく変化することが示された。これらの結果とスラグ内の溶質濃度分布の時間変化を検討し、流動状態が物質移動速度に与える影響についての一定の知見を得た。 マイクロリアクタ内での物質移動速度を実験的に定量するための手法の開発を検討した。このデータを採取するにはマイクロリアクタで抽出実験を行い、流出した液を分析する必要があるがマイクロリアクタ外で生じる抽出の影響を排除することが難しい。比較的実験を行いやすい気液二層流を取りあげて物質移動速度の測定方法を検討したところ、提案装置を使用し、マイクロリアクタの流路長さが異なる条件で実験を行ってデータを解析することで、高い信頼性を持って物質移動速度を評価できることが明らかとなった。今後は、この手法を活用して液液二相流における物質移動速度を実験的に正確に評価し、提案装置の設計法を構築するためのデータとして活用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究はほぼ計画通りに進んでいる。一般的な設計論を構築するために必要な流動解析および物質移動速度についてデータや知見の蓄積がほぼ予定通りに進行している。物質移動と流動の関係を調査するためのシミュレーション技術が確立され、また実験的に物質移動速度を測定する技術が構築された。これらを活用することで、設計論で必須となる物質移動速度のデータを得ることができる。 また、提案法を気液固反応に適用し、性能を評価した。これにより実験の結果提案法が有効であることを確認している。以上より平成25年度の計画は達成されているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
液液間の物質移動速度を明らかにし、これを予測するための相関式の提案を目指す。さらに設計論を提案するため、反応工学的の見地から装置の挙動を表すモデルを開発する。そのうえで数種の液液系反応を実施し、モデルの妥当性を確認する。企業との連携可能性を探るほか、継続して技術開発を行うための資金獲得を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会参加費などの費用が予定額を下回ったために生じた。 繰越額は次年度の試薬と装置作製に必要な経費の一部として活用する。特に大学院生による実験補助の人数を増大させて、実験の効率化を図るために活用する。
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Research Products
(3 results)