2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24656484
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
亀岡 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (60312823)
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Keywords | 触媒調製化学 / 準結晶合金 / 触媒材料 / リーチング / 合金化 / ナノ結晶合金 / ポーラス合金 |
Research Abstract |
本研究では、準結晶合金の触媒作用と触媒材料としての可能性を見極めるため、触媒活性金属を構成元素に持つ各種Al基準結晶合金を触媒前駆物質としてNaOH水溶液によりAlをリーチング(溶出)させた触媒を調製し、それらのリーチング挙動と触媒特性を詳細に調べた。さらに、準結晶のような複雑な構造を持つ合金(3元系Al基準結晶合金:Al-X-Y)を前駆物質としてこれからAlをリーチング(溶出)する場合、従来の結晶Al基合金に比べ、準結晶合金からAlを抜取る際に生じる原子の再配列の方が非平衡相を創出する可能性が高いため、ユニークな合金化が起こるかを検討した。 本研究の代表的な成果として、Al-Pd-TM (TM=Ni or Co)準結晶合金を前駆物質としてNaOH水溶液でリーチング処理するとAlの選択的溶出が起こり、残されたPd-TM金属原子間で自己組織化的に合金化が進行し、ナノ結晶合金粒子が形成することを見出した。準結晶では、構成原子が高い配置エントロピー状態におかれているために、Al原子が溶出した後、残された2種類の構成原子も高い配置エントロピー状態にあり、原子再配列の際に非平衡状態が形成されやすい。そのため、従来の溶解法では作製できない合金相が作製できた。このことは、本研究の調製法は従来の合金ナノ粒子の調製法のように金属塩や金属錯体などを使用しないため金属・合金化において構成金属の還元特性の制約を受けないためコア-シェル型ではない均一組成のナノ結晶固溶体合金粒子が形成できることを示している。また、もう一つのポイントは、金属種の塩や保護配位子などを除去するための熱処理を必要としないため、 結晶粒の成長が抑制され結晶子サイズが小さく比較的表面積の高い合金粒子が得られることを示唆している。
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