2012 Fiscal Year Research-status Report
高分解能固体NMRを用いたアルミノケイ酸塩ゼオライトのAl置換サイトの特定
Project/Area Number |
24656485
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
横井 俊之 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (00401125)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 触媒・化学プロセス / ゼオライト / Tサイト |
Research Abstract |
Si/Al = 50程度の典型的なZSM-5 を調製し、27Al MAS NMR、27Al MQMAS NMR、27AlDQMAS NMR の測定条件の検討を実施し、最適なシーケンスを設定した。 27AlMQMAS NMR 法により正確なケミカルシフト値を求め、文献を参考にケミカルシフトと平均T-O-T 角度を関連づけた。すなわちTサイトをおおざっぱに割り当てた。 次に、Al 含有量の異なるZSM-5 を調製し(Si/Al 比=20~1000)同様の解析を行った。MFI 型ゼオライトにはAlの置換サイトは12 個のT サイトがあるが、Al 含有量が少ない場合と多い場合では、Al の分布に違いがあるのかを検討した。その結果、Alは12種類のTサイトの均一に導入されていくのではなく、あるサイトに選択的に導入されていることを示唆するNMR結果が得られた。 またBeta は水熱合成法以外にもフッ化物法やドライゲルコンバージョン法などいくつかの合成ルートが確立され、合成ルートにより得られるゼオライトの物性が異なっている。そこで、Betaゼオライトを異なる調製法で合成し、Al種の解析をNMRにより行った。ケミカルシフトと平均T-O-T 角度を関連づけた。その結果、調製法によりAl置換サイトが異なっていることが示唆された。また酸処理による脱Al過程を詳細に検討した結果、均一にAlが骨格から脱離するのではなく、あるサイトのAlが選択的に除かれるという結果も得られた。さらに触媒性能とも関連づけ考察を行った。このような知見はこれまで計算化学的手法を用いて提案されていたが実際の実験データとして得られたのは初めてであると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高分解能固体NMRによるゼオライトの基本となる測定手法を確立できた。またMQMAS法やDQMAS法の測定シーケンスの開発に成功しており、様々なパラメータを得ることに成功した。これらの測定手法を用い、H24年度の計画通り、ZSM-5のAl状態の解析を実施し、ケミカルシフトとTサイトの関係を明らかに出来た。ただし、27Al DQMAS NMR 測定についてはAl含有量が少ない(Si/Alで50以上)場合、困難であることも分かった。これらの成果を次年度に活かすことで、当初の計画を遂行可能で有り、目標を達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度の成果をもとに、Al置換サイトを制御したZSM-5(MFI型)、MCM-22(MWW型)、Beta(*BEA型)ゼオライトの合成に取り組む。Alの置換サイト(Tサイト)を変化させる手段としては、Al源の種類、Al源を導入するタイミング(直接法 and/orポスト法)、ゼオライトの水熱合成条件(温度、時間、回転下or静置下)を検討していく。これらの手段に加え、H25年度では新たに有機構造規定剤の種類、使用の有無について検討する。中でもZSM-5 とBetaについては有機構造規定剤を使用しなくても合成する手法が確立されており、有機構造規定剤を使用した場合と比較しながらAl置換サイトを制御する手法を検討していく。 また、水熱合成法において、ZSM-5、MCM-22、Beta の結晶化過程を、高分解能固体NMR を用いて詳細に追跡することにより、Al 種が骨格内に取り込まれていく機構を解明し、Al 置換サイトを制御したゼオライト合成手法の開発につなげる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度はNMRの測定条件の確立に重点的に取り組んだため、一部ゼオライト合成の実験はH25年度に行うこととした為、残額が生じた為。
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Research Products
(2 results)