2012 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ波交番電場・磁場による固体界面における電子移動加速効果の実験的検証
Project/Area Number |
24656487
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
和田 雄二 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (40182985)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロ波 / 非平衡局所加熱 / マイクロ波特殊効果 / マイクロ波非熱的効果 |
Research Abstract |
Ni,Fe,Co金属粒子を分散した水溶液中において、ビオロゲン誘導体への電子移動反応を溶液の吸収スペクトル変化を追跡することにより観測した。Ni金属粒子では、電子移動反応によるビオロゲン誘導体還元を示すカチオンラジカルの吸収の立ち上がりが確認できた。マイクロ波照射下で連続的に溶液の吸収スペクトルを測定可能な系を組み立て、この電子移動反応に対するマイクロ波照射効果を調べたところ、マイクロ波照射下では、電子移動速度が3倍程度加速することが確認できた。Ruトリスビピリジン誘導体からビオロゲン誘導体への光誘起電子移動に対するマイクロ波照射効果を同様に調べたところ、促進効果は確認できなかった。マイクロ波促進効果は、電子移動に対する自由エネルギー変化が小さいほど大きく、すなわち、電子移動が自発的に起こり難い系に対して顕著になる傾向が確認できた。Ni金属からビオロゲン誘導体に対する電子移動反応速度をマーカス理論によって取扱い、電子移動に伴う再配向エネルギーを得る手法の検討を行い、その見通しを得ることができた。金電極表面にアルキルチオールを介してフェロセンを固定化し、フェロセンー電極間の電子移動を再クリックボルタンメトリーにより測定可能な系を組み立て、この電極におけるフェロセンの酸化還元電子移動速度が、温度に依存しないことを確認した。フェロセンへの電子移動速度へのマイクロ波照射効果の確認を試みた。電極界面におけるマイクロ波電場磁場の分布解析がこの手法の鍵となる知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ni金属ナノ粒子からビオロゲン誘導体への電子移動速度に対するマイクロ波効果の確認は、申請書内容を完全に遂行できた。電極界面における電子移動に対するマイクロ波効果については、手法の確立を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Ni金属ナノ粒子からビオロゲン誘導体への電子移動速度測定を行い、マーカス理論による解析を行う。そこで得られる電子移動に対する再配向エネルギーをマイクロ波照射下と通常加熱下で決定し、マイクロ波が電子移動反応に対して及ぼす効果について論じる。電子受容体・電子供与体分子を修飾配列した電極を用いて、電子移動速度を測定し、マイクロ波効果を明らかにする。これらの結果を総合的に理解し、マイクロ波の交番電場・交番磁場が化学反応系における電子移動過程に対してどのような効果を及ぼすかを明らかにし、マイクロ波利用化学の基盤体系化の端緒とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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Research Products
(12 results)