2013 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒による炭素-炭素結合形成を伴う高選択的芳香環官能基化反応
Project/Area Number |
24656490
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 寿雄 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (80273267)
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Keywords | 光触媒 / パラジウム触媒 / シアノメチル化 / 芳香環官能基化 / 水素 |
Research Abstract |
芳香環の官能基化は,高温高圧下で反応性の高い化学物質を用いた多段階反応により,多量の副生物を伴い製造されている例が多く,より温和な条件と単純な反応経路で無駄の少ない環境調和型の反応プロセスへの置換が切望される.これまで我々は,白金添加酸化チタン光触媒を用いて,直接的な芳香環の水によるヒドロキシル化(炭素-酸素結合形成)や芳香環のアンモニアによるアミノ化(炭素-窒素結合形成)等の水素生成を伴う高選択的芳香環官能基化反応に成功してきた.本研究では,ベンゼンとアセトニトリルからシアン化ベンジルと水素を得るという革新的な炭素-炭素結合形成を伴う高選択的芳香環官能基化反応(シアノメチル化)に成功した.この反応を促進できるのは,パラジウムを添加した光触媒のみであった.電子スピン分光法や同位体化合物を用いた速度論的解析などにより反応機構の詳細を検討した結果,酸化チタンの光励起で生じた正孔はアセトニトリルを酸化しシアノメチルラジカルを生成し,励起電子はおそらくパラジウム助触媒に到達しプロトンを還元し水素を生成させる.ただし,シアノメチルラジカルが生成してもパラジウムがないとシアノメチル化反応は進行しないことから,パラジウムが特異的に芳香環の活性化にも関与していることが示唆された.つまり,パラジウムは二つの機能を担っていることが示唆され,本触媒は光触媒とパラジウム触媒の二元機能触媒であることが判明した.
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