2012 Fiscal Year Annual Research Report
透明導電性膜を必要としないスパイラル形状を有する色素増感型太陽電池の開発
Project/Area Number |
24656492
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
竹内 雅人 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90382233)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ワイヤ型色素増感太陽電池 / 銀ナノ粒子 / 局在表面プラズモン共鳴 |
Research Abstract |
一般的な色素増感太陽電池(DSC)には、ITOやFTOなどの透明導電性基板が用いられており、材料コストの約30%を占める。この透明導電性基板の代わりに、金属ワイヤを基板に用いるワイヤ型DSCが報告されていが、光電変換効率のさらなる向上が課題となっている。本研究では、ワイヤ型DSCの変換効率向上を目的として、TiO2/Ti電極表面にAgナノ粒子とRu色素を近接した状態で担持し、Agナノ粒子の局在表面プラズモン共鳴効果による光電流値の増大を検討した。 Tiワイヤ(0.25mmφ)にTiO2ペーストをディップコート、500℃で焼成することで、TiO2/Ti電極を作製した。この電極に0.5mMのAgNO3溶液を滴下、UV光を照射することで、Ag粒子を担持した。さらに、TiCl4処理を施した後、N719色素を吸着させ、N719/Ag/TiO2/Ti電極を作製した。この光電極とPtワイヤ(0.25mmφ)を、5mmφのガラス管、または、1.3mmφのキャピラリー管に挿入した後、電解液(LiI;0.5M、I2;0.05 M、4-TBP;0.5M、溶媒;アセトニトリル)を注入し、DSCセルを構築した。作製したDSCセルの電流-電圧特性は、擬似太陽光(AM1.5、100mW/cm2)の照射下で評価した。 TiO2膜厚が増加するにつれて、開放電圧は減少したが、短絡電流は増加した。TiO2膜厚が28μmのとき、変換効率2.2%が得られた。膜厚の増加にともなう変換効率の向上は、N719の吸着量が増加したこととよい相関性を示した。次に、Agナノ粒子とN719色素を供担持した光電極を用いると変換効率はわずかであるが向上した。主因として、短絡電流が向上したことに関連していることから、N719色素の近傍に存在するAgナノ粒子の局在表面プラズモン共鳴によってN719色素の光吸収効率が向上したためと考えられる。
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