2012 Fiscal Year Research-status Report
ゼオライトの結晶化メカニズム解明のための結晶構造・電子密度分布解析
Project/Area Number |
24656493
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
山本 勝俊 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (60343042)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ゼオライト / 自己組織化 / 結晶成長 / ナノ材料 / X線構造解析 / 水熱合成 |
Research Abstract |
ゼオライトの合成には、Structure-directing agent(SDA)と呼ばれる有機化合物が用いられることが多いが、その機能は未だ解明されておらず、得られるゼオライトを合成前にデザインすることは現時点では不可能である。そこで本研究では、SDAを内包するゼオライトのX線構造解析を通じ、SDAの鋳型機能の定量的なスタディを行う。平成24年度は、LEV型ゼオライトをターゲットとした。 5・6・7・8員環を持つ環状イミンをジメチル化して得られた4級アンモニウムをSDAとして用いた場合、5・6・7員環を持つSDAからはLEV型ゼオライトが得られた。このSDAを内包したままのLEV型ゼオライトの粉末X線回折パターンから、charge flipping法を用い骨格モデルを導出し、実空間法を使ってSDAの位置を最適化し、得られた初期構造モデルをリートベルト法と最大エントロピー法により精密化した。その結果、すべての場合でSDAはその長軸がキャビティの長軸方向と等しくなるように位置しており、SDAの炭素原子とlevキャビティを構成する酸素原子の距離はほぼ0.33~0.40nmの範囲内にあることがわかった。原子半径を考慮すると7員環を持つSDAではlevキャビティの細孔空間がほぼ完全にSDAで埋められていることになり、これは8員環を持つSDAからはLEV型ゼオライトが得られなかった事実とも矛盾しない。興味深いことに、これらのSDAに類似の構造を持ちながら長軸方向のサイズのみが大きいトリメチルシクロヘキシルアンモニウムをSDAとして用いた場合は、levキャビティより内長径が大きいchaキャビティを持つCHA型ゼオライトが得られた。 以上から、特定の細孔空間を得るためにはSDAとゼオライト骨格の距離に必要条件(原子間距離として0.33~0.40nm)があることを見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のこれまでの研究により、様々なSDAを用いてのLEV型ゼオライトの合成に成功し、様々な手法のキャラクタリゼーションによる物性の評価とX線構造解析および評価手法の最適化が実現されている。そしてその結果、LEV型ゼオライトが持つlevキャビティの酸素原子と、そこに内包されるSDAの炭素原子の原子間距離が0.33~0.40nmの範囲にあることを見出し、第28回ゼオライト研究発表会においてその成果を報告することができた。 平成24年度の目標は、LEV型ゼオライトを結晶化させるために必要な、SDAが持つべき条件を抽出することであったので、本研究は当初計画した目的を達成していると考えられ、これまでのところおおむね順調に進展していると判断することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに多くのSDAを用いてゼオライトを合成し、X線構造解析を行うとともに、元素分析、熱重量分析などの手法によりキャラクタリゼーションを行う。LEV以外の構造のゼオライトが生成した場合には、そのときのSDA分子とlevケージとの相互作用をシミュレーションにより見積る。これらにより、官能基や分子サイズなど、LEV型ゼオライトを結晶化させるためにSDAが持つべき条件を絞り込む。 また、合成・構造解析のターゲットとするゼオライト骨格を、LEV型から同じくABC familyに属するCHA型、ERI型へと展開させる。これらのゼオライト骨格は、LEV型ゼオライトと同様にケージ状の細孔空間を持つため、ここまでに得られている合成や解析に関する知見が利用可能であると期待できる。SDAに求められる条件を精度良く評価するため、できるだけ多種のSDAを用いてゼオライトを合成し、その解析データを蓄積する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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