2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒト多能性幹細胞を用いた生体モデルBody on a chipの開発
Project/Area Number |
24656502
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
亀井 謙一郎 京都大学, 物質ー細胞統合システム拠点, 助教 (00588262)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロ流体デバイス / ヒト多能性幹細胞 / Body on a Chip / 3次元微小組織 |
Research Abstract |
本研究では、①マイクロ流体テクノロジーを駆使して3次元微小組織形成デバイスを開発し、②ヒト多能性幹細胞を用いた3次元微小組織の作製、③微小組織を連結することによるin vitro生体モデル「Body on a Chip」の作製とそれを用いた新規薬効評価を行う。具体的には、A. 多様な細胞外微小環境を作製・試験できるハイスループットマイクロ流体デバイス(HT-microFD)の開発、B. ヒトES/iPS細胞を用いた多種の機能的3次元組織への分化誘導法の確立、C. 作製した微小組織をマイクロ流体デバイス内で連結することによる生体モデルの作製と薬効評価を行う。 平成24年度では、本申請で作製するHT-microFDには、現在よく用いられマイクロ流体デバイスの作製が簡便なソフトリソグラフィー法を用いる。これは、新規実験系の開発を行う必要があるときには、1週間以内に新しいデザインのデバイスを得ることができる方法である。デバイス材料として、生体適合性、ガス透過性、光透過性などが非常に高いpolydimethylsiloxane (PDMS)を使用する。 HT化には、スタンフォード大学のQuake教授が多層型PDMSを用いて開発したHT-microFDを基に、これをヒトES/iPS細胞実験用に最適化したシステムを開発する。このデバイスには、コンピュータ制御可能なバルブとポンプがデバイス内に組み込まれ、流路の開閉、液滴の輸送を行うことができる。これを使用し、それぞれが独立した細胞試験チャンバーを大量に装備し、デバイスのHT化を試みる。 既に申請者は上記に基づいて、microFDのプロトタイプの作製に成功しており、次年度では細胞を導入した試験を試みる。また、同時にヒト多能性幹細胞の分化誘導条件も検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では、多様な細胞外微小環境を作製・試験できるハイスループットマイクロ流体デバイス(HT-microFD)の開発、及びヒト多能性幹細胞からの分化誘導を検討することが課題となっていた。各項目、順調に実験が進んでおおり、区分に(2)を選択した。これらの研究を基に平成25年度では最終目的であるBody on a Chipの開発を行なっていくものである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である本年度は、単一microFD内において多種の3次元微小組織を連結することによる生体モデル「Body on a Chip」の開発を行う。 本項においては、それまでに別々に作製した3次元微小組織アレイを一つに連結したin vitro生体モデル「Body on a Chip」の開発を行う。マイクロ流体デバイスを応用することによって、循環器系も模倣することが可能になる。 個々の組織には溶液回収用の出口を備えており、そこから組織を刺激したあとの薬剤とその代謝物を含む溶液を回収し、さらなる代謝産物と組織応答の評価を行う。代謝産物回収後は、個々の組織を回収し、他の生化学的解析法と組み合わせることによって、より詳細な薬効評価が行えるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究費使用計画としては、マイクロ流体デバイス作製用の消耗品、及びヒト多能性幹細胞培養・分化用の培地・試薬が必要であるので、それを計上した。また、最終年度であるので得られた実験結果を基に研究論文という形で成果報告を行う予定であるので、それに伴う費用を計上してある。
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Research Products
(12 results)