2012 Fiscal Year Research-status Report
放射音を用いたCFRP構造の異物衝突・衝撃損傷モニタリング法の開発
Project/Area Number |
24656513
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福永 久雄 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50134664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
胡 寧 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60250685)
跡部 哲士 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40586468)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | CFRP構造 / モニタリング / 衝撃損傷 / 放射音 / 異物衝突 |
Research Abstract |
本研究では,運用中の航空機や風車ブレード等のCFRP構造に小石・雹・鳥等が衝突するときの荷重位置・荷重履歴を,異物衝突時の放射音を用いて非接触・実時間でモニターする手法を確立し、同定した最大衝撃荷重および荷重~時間関係より,CFRP構造の衝撃損傷の有無・大きさを実時間で評価する手法を開発することを目的とした。本手法により,損傷位置・損傷有無の実時間判定が可能となりCFRP構造の安全性が格段に向上するとともに,現状の定期検査によるメンテナンスコストを大幅に削減可能となる。本研究では,異物衝突時のマイクロフォンへの放射音到達時間から,異物衝突を監視するとともに,衝撃損傷を評価する非接触・実時間のモニタリングシステムを開発し,CFRP積層板およびサンドイッチ板により本手法の有効性を検証する。 本研究における主要な研究項目は以下の2点である。 ① 放射音計測によるCFRP構造の非接触・実時間異物衝突監視システムの構築、 ② 同定した衝撃荷重によるCFRP構造の実時間衝撃損傷評価法の開発 異物衝突監視では,衝突時のマイクロフォンへの音波の到達時間差に基づく非接触の衝撃荷重位置同定法を開発し,本研究グループが開発した計測データのみを用いた実験的衝撃荷重同定法に基づき荷重履歴を実時間で同定した。一方,衝撃損傷評価法では,同定された荷重情報より損傷の有無・大きさを評価する実時間損傷モニタリングシステムを開発中である。本研究で提案する放射音計測による異物衝突・衝撃損傷モニタリング法は,これまで開発されたことの無い独創的で新規の手法であり,CFRP構造の画期的な安全性の向上に繋がる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 放射音計測によるCFRP積層板の非接触・実時間異物衝突監視システムの構築 異物衝突監視システムの構築では,以下の手順で異物衝突時の荷重位置・荷重履歴を決定する。 ①インパルスハンマ打撃時の,衝撃荷重f(t)~音圧p(t)の伝達関数を実験的に決定する。 ②4個のマイクロフォンへの放射音の到達時間差より,衝撃荷重位置を同定する。 ③②の衝撃荷重位置に対して,逆問題解析により音圧から衝撃荷重履歴を決定する。 CFRP積層板および補強パネルの同定結果では、荷重位置が高精度(10mm以内の誤差)で同定されるとき,衝撃荷重履歴も10%以内の誤差の高精度同定が可能となっている。本研究では,CFRP積層板を対象に,周辺雑音等のノイズ環境下で荷重位置同定誤差10mm以内の手法を確立することを目標とした。そのためにバンドパスフィルターを用いて打撃衝撃音の周波数成分を抽出して荷重位置同定を行うことにより大幅な精度向上を図ることができた。 (2) 同定した衝撃荷重によるCFRP構造の衝撃損傷評価法の開発 同定した衝撃荷重履歴を用いて,最大衝撃荷重より衝撃損傷の有無を判定する手法を確立した。また,最大衝撃荷重~損傷の大きさ(はく離面積等)の関係を実験的および損傷進展解析により求めることにより,同定した荷重履歴より損傷の大きさを評価する手法を開発中である。主要な研究項目は、 ・落錘衝撃試験機によるCFRP積層板の損傷を伴う衝撃試験、 ・同定した最大荷重からの損傷の有無の判定法の検討、 ・損傷進展解析および実験によるCFRP積層板の最大衝撃荷重~損傷面積関係のデータ収集、であり、おおむね順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究「放射音を用いたCFRP構造の異物衝突・衝撃損傷モニタリング法の開発」では,二つの研究項目「放射音計測によるCFRP構造の非接触・実時間異物衝突監視システムの構築」および「同定した衝撃荷重によるCFRP構造の実時間衝撃損傷評価法の開発」を行う。次年度は以下の検討を行う。 (1) CFRPサンドイッチ板の非接触・実時間異物衝突監視システムの構築 前年度行った「CFRP積層板の非接触・実時間異物衝突監視システムの構築」を発展させ、CFRPサンドイッチ板について異物衝突時の衝撃荷重作用位置を同定し、実験的に決定された衝撃荷重~音圧関係を用いて衝撃荷重を逆問題解析より決定する。主要な研究費の使用用途は、CFRPサンドイッチ板の製作費と計測用マイクロフォンの購入費である。 (2) 同定した衝撃荷重によるCFRPサンドイッチ板・積層板の衝撃損傷評価法の開発 同定した最大衝撃荷重による衝撃損傷の有無の判定法を確立し、最大衝撃荷重~損傷の大きさ(面積)の関係について実験結果を整理する。さらに、同定した衝撃荷重履歴による損傷の大きさの評価法を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「前年度未使用額は、計測用マイクロフォンとCFRP積層板の納品遅れによって生じたものであり、延期したCFRP積層板およびサンドイッチ板の製作費、計測用マイクロフォンに必要な経費として平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。」
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