2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24656514
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大林 茂 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (80183028)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 風洞 / 超音速流 / 磁力支持 / ソニックブーム |
Research Abstract |
低ブーム超音速飛行の研究が日米欧において注目を浴びているが,従来の風洞実験では模型支持干渉が必須のため実験の精度が低く,本格的に理論の実証を行うためには,実験機を実際に飛行させるか,バリスティックレンジ(弾道飛行試験装置)を用いて模型を自由飛行させるしかなかった。しかし,風洞を利用した飛行実験の代替え実験技術として,磁力支持天秤装置(MSBS)が考えられる。 本研究は,東北大学流体科学研究所の超音速吸込み式風洞にMSBSを適用し,模型に働く力とソニックブーム近傍場波形の同時計測を行う手法を確立し,世界各国で進められている低ブーム理論の検証を行うとともに,空力性能とのトレードオフを見極めることを目的としている。 従来MSBSがソニックブーム研究に適用されてこなかった主な理由は,超音速風洞通風時の初期荷重大きく,制御が難しかったためである。このため,東北大学流体科学研究所にある超音速吸込み式風洞とJAXAより移管された10cm MSBSを改修した。模型制御用磁気力の増強を図るとともに,鍵となる2つの技術,集合胴圧の高速制御技術と模型の高速位置姿勢測定用センサーの研究開発を行った。集合胴圧の高速制御技術の研究に必要な小型の集合胴を製作し,次年度以降の超音速風洞起動時の模型支持試験が可能な状態にした。 風洞起動時に浮揚模型が実際にはどの様な運動をするか,磁力支持天秤装置に付属の模型位置姿勢測定センサーを改良して1kHz以上の高速で計測できるようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鍵となる2つの技術,小型集合胴の作成および模型の高速位置姿勢測定用センサーの研究開発が実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
適切な大きさの翼面積を持つ有翼模型(AGARD-B標準模型に類似したもの)を製作するとともに,集合胴内に整流網を導入し、流れ場測定試験が可能な気流の質を確保する。 超音速風洞が起動,停止する場合に,スパンの小さい主翼上で左右対称に衝撃波が風洞軸方向に高速に移動しても,模型の磁力支持状態を保てるスパンの有翼模型を選定して,揚力を出した状態で超音速気流中に有翼模型を磁力支持できるようにする。(多分,揚力を有した模型の磁力支持は世界初となる)この技術により,ソニックブーム近傍場波形を測定する試験法についての検討が,試験レベルで可能となる。但し,風洞起動時の衝撃波は完璧に左右対称とはなり得ないので,大きなロール運動を伴う危険性が高い。模型のロール方向の回転トルクを抑える方法は模型の翼スパンを小さくすることであり,平成25年度は十分正確にソニックブーム近傍場波形の計測を実施することは期待し難い。このため,風洞起動時の模型ロール角変動量を計測して,起動時の変動が少ないロール制御に必要な磁場制御能力の改善策を検討する。その中で中心となる策は,ロール制御用コイルの製作とそれに流す電流を制御するパワーアンプの増強は必須の項目である。また、感圧塗料などの圧力計測技術の適用可能性についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
気流の質を高めるため,集合胴内に設置する整流網を設計・製作する。
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Research Products
(2 results)