2012 Fiscal Year Research-status Report
船舶海洋工学技術を応用した浮体式津波シェルターの開発
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24656530
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
南 清和 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (30282883)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 船舶海洋工学 / 防災 / 津波 / 浮体 / シェルター |
Research Abstract |
本研究では、巨大地震発生時に襲来する大津波に対し、陸域の海岸に近い市街地における防災施設の機能を持つ大型浮体式津波シェルターの開発に関する研究を行う。この大型浮体式津波シェルターは、平時においては陸上の施設として利用される。大津波来襲時には、避難民を収容した後に到来する津波の水量に応じて浮上することで津波の力を受け流し、施設と施設内の避難民の安全を確保出来る。さらに大津波襲来後には施設そのものが避難所となり、収容した避難民や被災者に対し、自己完結型のライフラインと備蓄された食糧により一定期間、被災者がそこで過ごすことが出来る施設となる。 本研究は、提案する大型浮体式津波シェルターの基本設計と津波襲来時におけるシェルターの挙動検証を数値シミュレーションにより行う。さらに数値シミュレーションの妥当性を検証のためシェルター模型を用いた水理実験を行い、得られたデータと数値シミュレーションとの比較を行う。これら研究より得られた知見から具体的な大型浮体式津波シェルターの設計を行い、その実現性についての提言を行う。 平成24年度は平成25年度に実施が予定される水理実験のための準備期間と位置付け、先ず大型浮体式津波シェルターの基本設計を行った。設計に関しては津波シェルターの必要要件および機能について検証を行い、具体的なシェルターの要目を確定し、数値シミュレーションにより津波来襲時におけるシェルターの挙動推定を行った。その結果、シェルターに作用する力や浮上時におけるシェルターの係留に必要な力が推定できた。次に結果より、大型浮体式津波シェルターの水理模型を設計した。また水理実験に必要な実験システムの構築を行った。さらに作成が予定されているシェルター模型および水理実験システムを用いた予備実験について実施を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は大型浮体式津波シェルターの基本的な仕様も含めた基本設計を行ったが、この際には東日本大震災においてどのような津波被害が発生したのかを再調査し、さらに当時、津波来襲の現場にいた方から聞き取り調査を行うなどにより、津波の威力についても検討をおこなった。その結果、現実に押し寄せた津波とは水量および流速が早く、過大なエネルギーを持っていることがわかった。そこでこれら津波が陸域においてどのぐらいの流速を持つのかを再度検討する必要があり、この点が影響し、基本設計策定に時間を要した。よって模型作成に遅れが生じたとともに、水理実験においてはシェルターに到来する津波の流速を計測する装置およびシェルターに津波が到達した際の水圧を計測することによりシェルターに掛かる力およびシェルターに作用したエネルギーの検討が可能になる事から、水理実験に必要な流速計および圧力センサーの購入を行った。当初、平成24年度に予定されていた水理模型作成は、先の基本設計が完了したので、平成25年度に実施する事となった。なお、総合的に研究計画の遅延は発生していない。以上の理由より「研究目的の達成度」は概ね順調に推移していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は年度当初に平成24年度に作成予定の大型浮体式津波シェルター水理実験用模型を作成し、水理実験を行う予定である。水理実験では東日本大震災において発生した大津波のデータをもとにこれを再現し、シェルター模型にこの再現された大津波相当の波(モデル)をあて、シェルター模型の挙動および大津波モデルの速度さらにはシェルター模型に作用した水圧を計測する。これら計測に必要な計測機および計測システムは平成24年度に完成している。なお、実験は東京海洋大学の船舶運航性能実験水槽と日本大学理工学部海洋建築工学科で行う予定である。これらの実験からデータを解析し、本研究で提案する大型浮体式津波シェルターの設計を行う。これらの過程および結果を経て、研究最終年である平成26年度への研究につなげていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は平成24年度に検討途中となり作成出来なかった大型浮体式津波シェルター水理実験用模型を、平成24年度に生じた「次年度使用額」にて作成する予定である。また、水理実験を実施するにあたり、実験データの計測のための実験補助者を採用する予定である。さらに水理模型実験の結果を研究成果として取りまとめるにあたり、研究成果の検討を行い、可能な限り研究成果を公表する予定である。
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