2012 Fiscal Year Research-status Report
溶接構造体に対する非接触・累積ダメージ予測システムの確立
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24656533
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堤 成一郎 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (70344702)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 塑性 / 疲労 / き裂 / 弾塑性 / 寿命評価 |
Research Abstract |
船舶・海洋構造物、橋梁、自動車、鉄道車両、高層ビル、海上空港など、多くの溶接構造体が社会インフラとして活用されているが、現在でも多くの疲労損傷が報告されている。なお道路鋼製橋脚で多くの疲労損傷が生じ、補修に多大な労力を要し続けていることは記憶に新しい。社会インフラの疲労損傷は大規模死亡事故を誘発する事もあり、溶接構造物における疲労損傷事故を防止することは、豊かでかつ安全な社会活動を営むために極めて重要な課題である。 これまでに、各種溶接構造体の疲労設計の高度化を目指した研究は、国内外で盛んに行われてきたが、その多くは実験力学的もしくは破壊力学的手法を用いた研究が主流であり、設計上も極めて重要な疲労き裂の発生段階を合理的に解明し得る理論的研究は数少ない。 本研究では、き裂発生の前駆段階に、負荷応力に応じて計測される塑性ひずみの大きさと、計測される温度変化量との相関を明らかにし、高・低サイクル疲労問題へ適用可能な弾塑性モデルの確立により、疲労き裂発生までの寿命を定量的に評価可能な非接触・累積ダメージ予測システムの確立を目指す。 本年度は、繰返し応力に伴う発熱量の高精度予測に不可欠な繰返し弾塑性モデルの高精度化を行なった結果、一定応力振幅下でのき裂発生に至るまでの繰返し回数とモデルにより予測される累積の塑性仕事量との相関が高いことを明らかにした。さらに,多段変動応力下におけるき裂発生寿命評価への適応も行い、その応答特性の詳細を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに繰返し応力に伴う発熱量の高精度予測に不可欠な、繰返し弾塑性モデルの高精度化を行なった。また、一定応力振幅下でき裂発生に至るまでの繰返し回数とモデルにより予測される累積の塑性仕事量との相関が高いことを明らかにしている。 今後重要となる多段変動応力下におけるき裂発生寿命評価への適応も行い、その応答特性の詳細を明らかにする必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、多段変動応力下におけるき裂発生寿命評価への適応も目指して、その応答特性の詳細を明らかにすると共に、繰返し応力に伴う発熱量の高精度予測に不可欠な繰返し弾塑性モデルの高精度化を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
多段変動応力下におけるき裂発生寿命評価への適応には、弾塑性モデルの高精度化が不可欠であるが、その際に重要となる応答特性の詳細を明らかにすると共に、繰返し応力による発熱量予測および実験結果との比較を行うことを目的として、計算機と計測器の購入を行う予定である。
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